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2021年1月10日(日)

主張

憲法公布75年の年

改憲許さず立憲主義の回復を

 今年は、悲惨な戦争への痛苦の反省に立って制定された日本国憲法が公布されてから75年です。1946年11月3日に公布され、47年5月3日に施行された憲法の前文は「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」しています。戦後日本の原点である憲法を敵視し、改憲策動を続けてきた安倍晋三政権は昨年退陣しましたが、後を継いだ菅義偉政権も憲法破壊の姿勢があらわです。今年を改憲策動に終止符を打ち、安倍・菅政権が壊してきた立憲主義を取り戻す年にしなければなりません。

違憲の暴挙に反省は皆無

 菅首相は、改憲派ジャーナリスト・櫻井よしこ氏との新年の対談(「産経」3日付)で、自民党は自主憲法制定という旗を掲げており、「改憲に向けて進むのは当然」「しっかりと挑戦したい」と主張しました。対談では、日本学術会議への人事介入という違憲・違法の暴挙も正当化しました。憲法が保障する学問の自由を踏みにじったことに対する反省は皆無です。

 菅首相は、昨年の政権発足の際、自民党役員・国会人事で改憲推進の布陣を敷きました。党改憲推進本部長に改憲強硬派の衛藤征士郎・元衆院副議長を就任させ、衆院憲法審査会長には細田博之・元自民党幹事長を起用しました。しかし、昨年中を目指した自民党改憲案の条文化は実現せず、審査会への自民党案の提示も、改憲のための国民投票法の改定も実行できませんでした。

 安倍前首相が持ち出し、菅首相が受け継ぐ明文改憲の中心は、憲法9条に自衛隊を書き込み、9条の「戦力不保持」「交戦権否認」の規定を空文化・死文化させ、自衛隊が大手を振って、海外で武力行使をできるようにする危険なものです。日本を「戦争する国」に逆戻りさせる策動は、憲法制定時の決意に真っ向から反します。安倍・菅改憲を断念に追い込むことが重要です。

 急がれるのは、安倍・菅政権によって破壊された立憲主義を再建することです。2014年に安倍首相と菅官房長官の下で、「法の番人」とされる内閣法制局長官を官邸の意をくむ人物にすげかえ、集団的自衛権行使を「合憲」とする解釈変更の閣議決定が強行されました。このことに端を発した立憲主義否定の政治は、安倍政権の「負の遺産」の最たるものです。

 集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回をはじめ、安保法制=戦争法や秘密保護法など数々の憲法違反の法律を廃止させることが急務です。明文改憲など、さらなる憲法破壊の策動をやめさせるとともに、立憲主義・法治主義に反する強権的な菅政権を退陣させるときです。今年必ず行われる総選挙で政権交代を実現し、憲法を守り生かす野党連合政権を樹立するために力を尽くしましょう。

コロナ禍の中だからこそ

 世界的なコロナ危機の広がりの中で、日本国憲法の理念の実現がいよいよ求められています。

 「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」(憲法前文)

 公布75年の節目の年を、憲法前文を含む全条項が守られ、特に平和的民主的条項が完全に実施される日本への転機にしていくことが必要です。


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