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2020年12月18日(金)

「勝負の3週間」感染抑制できず

重症者の増加続く恐れ

厚労省専門家組織が見解

 政府が新型コロナウイルス感染拡大防止策を強化するとして「この3週間が勝負」(11月25日、西村康稔経済再生担当相)と国民に呼びかけてから16日で3週間となりました。同日夜に開かれた対策を助言する厚生労働省の専門家組織「アドバイザリーボード」の会合では、3週間で逆に感染が拡大した数値が示されました。

 会合では、全国の新規感染者数の過去最多水準が続き、首都圏、関西圏、中部圏で感染者数の明らかな減少は見られないと指摘。「今後も重症者の増加はしばらく続くおそれがあり、死亡者数のさらなる増加も懸念される」と分析しました。

 北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫の9都道府県で全国の感染者の約75%を占め、「大都市における感染を抑制しなければ、地方での感染を抑えることも困難になる」と警告しました。

 新規感染者数は、11月25日から今月1日までの1週間で1万5097人。2~8日は1万5521人、9~15日は1万8024人と2週間で約2割増え、感染増加に歯止めがかかりませんでした。重症者数も16日時点で618人に上り、3週間前と比べ約1・6倍に増えました。

 「勝負の3週間」をめぐっては政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が、医療体制や保健所の負担が深刻化しステージ3相当の対策が必要な地域が出ているとして、「3週間程度」の短期間に感染状況を沈静化するため▽飲食店の営業時間短縮要請▽感染地域とそれ以外の地域との往来自粛▽「Go To トラベル」事業の一時停止―などを提言していました。西村担当相の発言はこれを受けて行われたものです。

 政府は感染者が急増する東京都、札幌市、大阪市などの一部地域で「Go To トラベル」の目的地除外や利用自粛などを決めました。しかし東京都に関しては65歳以上や基礎疾患のある人に利用を控えるよう呼びかけただけで、感染拡大のリスクを高める人の往来や接触の機会を減らすことにはつながりませんでした。東京都は17日に過去最多の822人となり、重症者の受け入れが困難になりつつあります。

 政府は1月末期限の「Go To トラベル」事業を来年6月末まで延長することを決定。菅義偉首相は11日に出演したインターネット番組で同事業の一時停止について聞かれ「まだ考えていない」と固執する姿勢を見せました。翌日の12日、全国の新規感染者は3千人を超えて過去最多となり、菅首相は14日になって「Go To トラベル」の全国一時停止を表明しました。

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