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2020年12月4日(金)

主張

馬毛島基地建設

日米の軍事拠点化許されない

 菅義偉政権は、米空母艦載機の離着陸訓練(FCLP)の移転などのため、鹿児島県西之表市の無人島・馬毛島を軍事拠点化する計画を急ピッチで進めようとしています。FCLPは、周辺地域を低空で旋回飛行しながら空母の甲板に見立てた陸上の滑走路でタッチ・アンド・ゴーを繰り返し、すさまじい爆音をまき散らします。激しい騒音被害が、馬毛島からわずか10キロしか離れていない種子島(西之表市、中種子町、南種子町)や、近くの屋久島(屋久島町)などに及ぶことは必至です。基地建設計画は白紙撤回すべきです。

深夜3時まで訓練続く

 FCLPは、横須賀基地(神奈川県)を母港にする米空母が出航する前に実施します。現在、太平洋上の孤島・硫黄島(東京都)で行われています。米軍は空母艦載機の厚木基地(神奈川県)から岩国基地(山口県)への移駐計画(2018年完了)で、岩国に近い訓練施設の提供を求めてきました。

 日米両政府は11年、南西地域の防衛態勢強化のためとして、新たな自衛隊基地の建設先に馬毛島を選び、併せてFCLPの恒久施設として使用することを決めました。しかし、地元住民らの強い反対の声や、同島の大半を所有し違法の疑いがある開発を進めてきた民間会社との買収交渉の難航でたなざらし状態となっていました。

 昨年11月、当時の安倍晋三政権は、当初評価額の3・5倍になる160億円という法外な価格で買収に合意し、今年8月には基地の施設配置案を明らかにしました。

 それによると、面積が東京ドームの175個分に相当する馬毛島全体を基地化します。基地は2本の滑走路を持つほか、港湾や訓練施設、火薬庫などを備えます。防衛省は、訓練施設、飛行場、港湾施設が一体となった自衛隊基地は今まで例がなく、「この施設を一つ整備することは、複数の防衛施設を整備することに匹敵する」としています。「有事」の際には兵站(へいたん)拠点にもなり、文字通り、強大な基地が造られることになります。

 自衛隊が同基地で実施する可能性があるとする訓練は、▽戦闘機の離着陸訓練▽「いずも」型空母に搭載するF35Bの発着艦訓練▽V22オスプレイによる部隊展開訓練▽上陸作戦訓練―など多種多様です。所要日数は離着陸訓練で空自と海自それぞれ年約50日、発着艦訓練で年約100日などとしています。基地ができれば、米海兵隊のF35Bやオスプレイが訓練をしたり、日米共同訓練が行われたりするのは間違いありません。

 加えて、米軍はFCLPを1回当たり10日程度実施し、飛行回数は2000~3000回に上るとされます。防衛省は「午前11時から深夜3時ごろまで離着陸を繰り返す場合がある」と説明しており、まさに昼夜問わずです。

全国問題として反対を

 西之表市の八板俊輔市長は10月、今回の計画について「同意できない」と表明しました。八板市長は「最も大きな問題は、(日米地位協定によって)米軍の訓練や基地に対して日本は制限をかけられないこと」だとし、「(米軍が)約束を守らなくても、日本政府はやめさせる権限のない実態がある」と指摘しています。

 「馬毛島に基地はいらない」の声と運動を全国の問題としてさらに大きくする必要があります。


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