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2020年12月3日(木)

主張

GoTo微修正

泥縄対応では感染抑止できぬ

 菅義偉首相と小池百合子東京都知事が会談し、「Go To トラベル」について、東京発着の旅行では65歳以上と基礎疾患のある人に一定期間、利用自粛を呼びかけることで合意しました。一時停止には踏み込みませんでした。税金で人の移動を後押しする「Go To トラベル」が新型コロナウイルス感染急拡大の契機になったとの指摘が相次ぐ中、あくまで続行にこだわる菅政権の方針は感染対策に逆行しています。事業の根本を改めず、泥縄式に微修正を繰り返しても感染拡大は抑止できません。全国一律の「Go To」の中止を早く決断すべきです。

逆行する姿勢は変わらず

 「Go To トラベル」利用者が出発地でも目的地でも全国最多とされる東京都については、「第3波」が顕在化してから中止や見直しを求める声が強まっていました。しかし、政府の専門家会議が先月20日に感染拡大地域の除外を提言しても、菅政権は、東京の見直しには動きませんでした。その後、札幌市と大阪市を目的地とする利用の除外などは決めたものの、東京をはじめ全国規模で行うことに固執し続けてきました。

 菅首相と小池知事が1日の会談で、65歳以上などへの利用自粛しか呼びかけなかったのも、目玉政策と位置付ける「Go To トラベル」の大幅見直しにつながることを避けたい首相の意向が強く反映したためです。感染拡大が目に見えて広がり、重症者増加で医療機関の受け入れが危機的になっているのに、一度決めた仕組みにしがみつくことは、あまりにも硬直した姿勢です。国民の命と健康を守る立場とは相いれません。

 自粛要請の対象を65歳以上の人や基礎疾患がある人に限った理由について、政府や都は重症化リスクが高いためと説明しますが、「Go To」を利用しないからといって、これらの人たちが感染を免れる保証はありません。むしろいま深刻なのは、家庭内で世代を超えて感染したケースが目立っていることです。活動的で無症状の人たちでの感染を抑えることが大きな課題となっています。その中で、65歳以上などと限定した自粛要請を政府がすることには、「自粛の対象にならなかった人たちにとってみれば、引き続き旅行をしても大丈夫という誤ったメッセージになる可能性がある」(国際医療福祉大の松本哲哉教授=「朝日」2日付)との警告も出されています。

 全国一律の事業中止を打ち出さない政府の危機感の欠如と感染抑止への本気度が問われます。観光、旅行、飲食などの事業者を直接援助することを組み合わせた制度へと切り替える時です。多くの事業者は今年春からのコロナの影響ですでに大打撃を受けています。3度目になる営業自粛要請では、一層の手厚い支援が必要です。自粛要請と一体での補償は感染抑止の大前提です。

国会を閉じず議論続けよ

 国民に「我慢の3週間」を求めておきながら、菅政権と与党が5日で国会を早々と閉会しようとしていることは許されません。

 PCR検査の拡充や医療機関・医療従事者への支援強化、雇用や営業を守る仕組みの継続と拡大など議論が必要な課題は山積しています。会期を大幅に延長し、コロナから国民の命と暮らしを守るための徹底審議を行うべきです。


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