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2020年11月28日(土)

きょうの潮流

 菅首相による日本学術会議の会員任命拒否は「学問の自由」を奪ったことで知られる戦前の「滝川事件」(1933年)とそっくりだと、国会でも取り上げられました▼滝川事件は、京都帝国大学の滝川幸辰(ゆきとき)教授の書いたものをマルクス主義、危険思想だと決めつけ、文部大臣が「休職」=解職を押し付けた思想弾圧です。ねらいは、当時の斎藤実首相みずから、大学の「人事行政」の実権を文相が握ることにあると明かしています▼この暴挙に、戦前最大で最後といわれる学生運動がおこりました。東大では、当局と警察の取り締まりの中、「大学の自治、学問研究の自由擁護」「滝川教授の復職、文相の辞職」を求めて立ち上がりました▼運動の頂点は、6月の法学・経済・文学部の合同学生大会です。美濃部達吉の憲法学の講義に700人の学生が集まり、学生大会に切り替えました。その外では2000人が見守ったといいます▼多くの学生たちは歴史の分岐点だと感じ取っていました。回想集『私たちの瀧川事件』で藤本武氏は、「大きな戦争準備のための小手調べであることを鋭く本能的に嗅ぎとっていた」と書きました▼共産青年同盟(共青)東大細胞の50人近い同盟員が、運動の推進力だったことも明らかになりました。侵略戦争・ファシズム阻止の防波堤になろうと、「『赤旗(せっき)』を読み、自分たちの頭で考え、経験の蓄積はなかったが、協力協同して活動した」。指導者の一人で、戦後民商の創設に参加した佐々木恵真(えしん)氏の回想です。


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