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2020年11月22日(日)

きょうの潮流

 罪に問われ死の宣告を受けた古代の哲学者は、こう言い残しました。「去るべき時が来た。私は死ぬために、諸君は生きつづけるために。しかし、どちらがよりよき運命に出あうか。それは神よりほかに知る者がない」▼プラトンが記した『ソクラテスの弁明』の最後の一節は「神のみぞ知る」の語源とも。その言葉を引いた閣僚が批判を浴びています。「感染がどうなるかっていうのは、ほんとうに神のみぞ知る…」。コロナ対策を担う西村担当相の発言です▼いまの政府の無策ぶりを象徴する無責任さ。第3波が襲い全国で感染がひろがっているのに、呼びかけるのは会食の仕方ばかり。やれマスクをしてだの、静かに食べてだの。そんなことしか発信できないのか▼ようやく「Go To」事業の見直しを言いだしましたが、行楽シーズンの連休で人出は各地に。これまで散々あおっておきながら、はしごを外され不信感が募る人も多い▼ここにきて中高年層への感染が増え、医療現場は緊迫しています。病床や人員、検査体制をどう確保するか。そうした支援に尽力するわけでもなければ、感染を抑え込む戦略もみえない。国民のために何をなすべきか、根本となる考えがないからでしょう▼知らないことを自覚する―。ソクラテスは「無知の知」を己の哲学の出発点としました。それは、ただ生きるのではなく、よりよく生きるための指針でもあったといいます。そんな人類の知恵や教訓を説いたところで、恥を知らない政権には響かないか。


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