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2020年11月12日(木)

主張

政府のコロナ対策

感染急拡大に真剣に対応せよ

 菅義偉首相が、新型コロナウイルス感染防止と経済活動での追加対策を盛り込んだ2020年度第3次補正予算案の編成を閣議で指示しました。コロナ感染者数は全国的に顕著に増加しており、事実上の「第3波」が始まったといえる状況です。しかし、菅政権が進めようとする追加策からは、国民の命と健康、暮らしを守り抜く方策がみえず、事態の深刻さに見合ったものとはいえません。感染の急拡大に対応するために従来のやり方を転換し、3次補正を待たずに、検査と医療の抜本的拡充、営業と雇用を支える制度を強化することが急務です。

3次補正を待つのでなく

 政府のコロナ感染症対策分科会が9日、いま適切な感染防止策を取らなければ「急速な感染拡大に至る可能性が高い」と警告したように、感染の広がりに対する緊急対応が焦眉の課題です。

 PCR検査体制の大幅な拡充による無症状者の把握・保護を含めた積極的検査への戦略的転換が強く求められています。自治体の独自の検査を「全額国庫負担」で支える仕組みも必要です。

 コロナ対応と患者減少で赤字を抱え疲弊している医療機関の危機を救うために国による減収補てんに踏み切ることも急がれます。感染者の発見・保護・追跡には保健所の体制強化が不可欠です。

 しかし、菅政権は、検査・医療・保健所体制の強化について新たに踏み込む方向を示しません。3次補正では、「コロナの感染拡大防止」を柱の一つにしていますが、検査体制の転換も医療機関への減収補てんも後ろ向きです。

 だいたい来年1月の通常国会に提出する予定の3次補正まで待っていられる感染状況ではありません。真剣にコロナ防止策を講じるというなら、基本的な姿勢を改めるべきです。

 暮らしの面でも、菅政権は国民の苦しみと向き合おうとしていません。いま国民が直面しているのは、事業と雇用の深刻な危機です。これから年末にかけて倒産・廃業・失業の急増が懸念され、「このままでは年が越せない」「事業を続けられない」という悲鳴が各地で上がっています。

 中小企業向けの持続化給付金を複数回支給することや、家賃支援給付金と休業支援金の拡充こそが切実な要求なのに、政府は正面から受け止めようとしていません。それどころか雇用調整助成金制度の特例措置の縮小などを検討しています。逆行は許されません。雇調金特例の延長・拡充を政府が表明することが求められます。

 20年度2次補正予算で10兆円も計上した予備費のうち、いまも7・3兆円の使途は決まっていません。政府は、検査・医療や暮らしの緊急対策を求める国民の声を受け止め、予備費をどう活用するのかを議論できるよう、速やかに国会に示すべきです。

直面する危機の打開こそ

 菅政権の追加対策で目立つのは、「コロナ後」に軸足を移した経済成長であり、デジタル化の推進などを柱にしています。しかし、いま最も急がれるのはコロナ感染拡大を抑止することであり、雇用や事業の危機を経済恐慌にしないための対策です。政府の支えを求める人たちに必要な支援が直ちに行き届く対策を行う政治への切り替えがいよいよ重要です。


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