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2020年10月16日(金)

主張

菅政権発足1カ月

強権で冷たい政治 許さぬ声を

 安倍晋三首相が退陣し、菅義偉政権が発足してから16日で1カ月です。早くも浮き彫りになったのは、安倍政権以上の強権政治の危険です。日本学術会議への人事介入はその最たるものです。新型コロナウイルス感染の広がりで、かつてない困難に直面している国民に「まずは自分でやってみる」ことを強調し、「自己責任」を押し付ける冷たい姿勢もあらわです。安倍首相が推進してきた改憲や沖縄での米軍新基地建設も加速させようとしています。権力の行使には自制がなく、国民の苦しみには目を向けない、菅政権を続けさせるわけにはいきません。

違法・違憲の任命拒否

 菅首相が日本学術会議の推薦した会員候補105人のうち6人の任命を拒否したことは、過去に例を見ない異常事態です。学術会議の推薦に基づき、首相が任命すると規定した日本学術会議法に反し、憲法が保障した学問の自由も踏みにじる違法・違憲の暴挙です。

 菅首相は「総合的・俯瞰(ふかん)的な活動を確保する」観点からだと開き直っていますが、日本学術会議法にはない基準を持ち込むもので通用しません。首相は、105人の推薦リストは見ていないと言い出しました。そうだとすれば、「推薦に基づいて任命」という規定に違反し、弁明は破綻します。

 憲法に学問の自由が書き込まれたのは、学問と思想の自由に政府が介入・弾圧し、科学者が戦争に動員された戦前に対する痛苦な反省からです。学術会議の創設も、その精神に沿ったものです。首相の任命が、あくまで「形式的」とされているのも「学問の自由」を保障するためであり、中曽根康弘元首相の1983年の国会答弁などで、政府が明らかにしてきたことです。それを踏みにじった任命拒否は、憲法をないがしろにし、歴代政府の法解釈を平然と覆してきた「安倍政治」を引き継ぐ暴挙そのものです。

 コロナ禍の中で「自助・共助・公助」が目指す社会像だと公言し、国民に「自己責任」を迫る菅首相の姿勢は、政治の果たすべき責任を投げ捨てたものです。失業や倒産への不安を抱え、必死で頑張っている国民に向かって首相が言うべき言葉ではありません。安倍政権下で迷走を続けたコロナ対策に根本的な反省を示さず、消費税の減税を求める幅広い声にも、背を向けていることは重大です。

 「森友・加計・桜」疑惑の解明に動こうとしないことも大問題です。政党助成金が買収の原資になった疑いのある河井克行元法相夫妻の公職選挙法違反事件について沈黙しているのも無責任です。「安倍官邸」を官房長官として取り仕切り、一連の国政私物化に深く関わってきた菅首相には国民に真相を語る責任があります。

総選挙で政権交代を必ず

 沖縄の米軍新基地建設では「辺野古が唯一」というゴリ押し姿勢を改めません。安倍首相が固執した改憲では、自民党の役員人事で改憲シフトを敷き、年内に改憲原案をまとめると起草委員会を設置しました。民意に逆らい行き詰まった、改憲強行路線に拍車をかけることは認められません。

 危険な姿を日々明らかにしている菅政権を世論で包囲し、打倒することが急がれます。総選挙で政権交代を実現し、野党連合政権をつくろうではありませんか。


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