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2020年10月13日(火)

「大阪市守れ」と活気

住民投票告示 反対の声広がる

記者座談会

事実伝え、追い上げ逆転へ

 大阪市をなくすのか、大阪市の力をいかして新しい発展をはかるのかを問う住民投票が12日、告示されました。11月1日投票。様相を担当記者で話し合いました。


写真

(写真)「大阪市なくすな」とアピールする人たち=12日、大阪市北区

  いよいよスタートしたね。2015年の住民投票に続いて再び「大阪市廃止ノー」の審判を下したい。

  大阪市役所前で行われた日本共産党も加わる「明るい民主大阪府政をつくる会」「大阪市をよくする会」の出発式には「大阪市なくすな」「大阪市の力をコロナ対策に」のプラスターや旗が目立った。医療従事者、労働者、中小企業経営者、弁護士の立場から「大阪市をなくしたらあかん」との思いが伝わった。

  大阪維新の会と公明党は、南海なんば駅前で「合同説明会」。前回の反対から賛成に転じた公明党の言い訳は苦しかったね。

  昨春の知事・大阪市長ダブル選では「都」構想について「百害あって一利なし」とまで言っていたからね。それが、公明党の提案で「設計図が生まれ変わった」(佐藤茂樹府本部代表・衆院議員)と絶賛した。

  実際は設置する特別区の数が五つから四つに変わったぐらい。大阪市の財源も権限も「府」が吸い上げ、「半人前」の自治体である特別区になる本質は変わらない。公明党のセールスポイントは住民サービスの「維持」だが、これが争点の一つになっている。

打ち消しに必死

  特別区の税収は大阪市の3分の1に激減する一方、特別区設置に15年間で1300億円もかかる。住民サービスを維持したくても、お金がなくてはサービス低下は避けられない。

  さすがに協定書(設計図)でも、特別区移行後は維持に「努める」としか書けなかった。ところが、告示日の維新、公明の「街頭合同説明会」で維新が住民サービスは「拡充」「向上する」と言い始めたのには驚いた。

  「住民サービスが低下するのではないか」という市民の不安の広がりによほどあわてたんだろうね。維新のビラも「それ、デマとちゃいますか?」と打ち消しに必死だ。

  松井一郎大阪市長(大阪維新の会代表)や吉村洋文知事(維新代表代行)の住民サービスが「向上」する理屈はこうだ。大阪が成長すれば、税収が増え、住民サービスは下がらず、むしろ向上する。

  その維新の「成長戦略」が問題だ。ベイエリア(湾岸地域)開発をしきりに強調しているけれど、要するに人工島「夢洲(ゆめしま)」開発だ。25年の「大阪万博」は半年だから、本命はカジノを中核とする統合型リゾート(IR)だ。人の不幸で成り立つギャンブル産業が「成長戦略」の目玉とは。

  松井市長は、「二重行政のムダ」をなくせば財源は生み出せるとも強調し、吉村知事は「二重行政の暗黒の時代に戻していいのか」とぶった。ふたりとも挙げた例が、大阪市のワールドトレードセンター(WTC)ビルと、大阪府のりんくうゲートタワービル。合わせて「2000億円がパーになった」と力説した。

  それって、「二重行政」のせいでもなんでもない。政策の誤りであって、一つでも無駄だ。

コロナ禍なのに

  街頭で配布されていた維新ビラで「コロナ禍だからこそ都構想が必要」と大見出しになっているのにも驚いた。

  なんでコロナ禍で大変な時に、後戻りできない大阪市廃止の是非の選択を市民に迫るのか。医療従事者は「コロナだけでも大変なのにインフルエンザ流行の時期を控え、医療現場は混乱・疲弊している」と悲鳴を上げている。「コロナ対策に全力を」というのが市民共通の思いだ。

  世論調査ではまだ「都」構想賛成が反対を上回っているが、急速に反対の声が広がっている。11日には学者26人が記者会見して、それぞれの専門分野から「都」構想の危険性を告発した。学者の所見は130人から寄せられている。

  文化人や医療関係者、地域振興会にも反対の声が広がっている。公明党がどんなに「理解」を得ようとしても支持層は依然として反対が多数だ。

  SOCs(ソックス、「大阪市を守る」有志)や「残そう、大阪@SADL(民主主義と生活を守る有志)」の宣伝の取材をすると、毎回、新しい顔ぶれに出会う。「人生初宣伝」という人も。自前ポスターをつくる人、SNSで発信する人、一人で黙々とビラ配りをする人など、みんな「130年の歴史をもつ大阪市をなくしたらあかん」「居ても立ってもいられない」と口々に語る。

  まだまだ「賛成多数でも『都』にはならず、大阪市がなくなるだけ」「後戻りできない片道切符」「住民サービス低下は避けられない」「維新でさえ、いまは『二重行政はない』と言っている」など基本的な事実が知られていない。どれだけ、事実を市民に知らせ切るかに住民投票の行方はかかっているね。


大阪の未来決めるたたかい

党大阪府常任委員会がアピール

 日本共産党大阪府常任委員会は12日、大阪市廃止・分割の是非を問う住民投票の告示に当たり、アピールを発表しました。

 アピールでは、住民投票は、大阪市を廃止するのか、それとも大阪市をいかし、これまでのあり方をおおもとから転換し、市民の命と健康、暮らしを守り、発展させる新しい市政を築くのか、「大阪の未来を決めるたたかい」であり、「菅政権の最悪の補完勢力となる維新の会に痛打を与え、野党連合政権への道をひらく点で、全国的意義」をもつと指摘。再び「大阪市廃止=都構想」にノーの審判を下すために総力を挙げると決意を表明しています。

 論戦では、「大阪市の廃止か、存続か」「住民サービスの切り捨てか、向上か」「コロナ禍でなおカジノ、インバウンド(訪日外国人旅行)頼みか、命と福祉、暮らし第一へ転換するのか」など焦点が浮き彫りになりつつあると指摘。組織戦では、140万部発行された『まるわかりパンフ』を市民のなかで広げ、「日刊 つくろう未来」配布活動を成功させながら、市民「100万対話」をやり切ることを呼びかけ。11月1日の投票日を「市民の手で大阪市を守りぬき、市民とともに動かす新しい政治への歴史的転換点にしようではありませんか」と訴えています。


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