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2020年10月8日(木)

主張

コロナ禍の失業増

政府は雇用を守る責任果たせ

 新型コロナウイルス感染拡大の影響による雇用情勢の悪化が鮮明になっています。総務省が2日発表した8月の労働力調査では、完全失業者は前年同月に比べ9万人も増え、205万人にのぼりました。会社から仕事を休まされた人たちなどの休業者数も216万人と依然として高水準です。長期化するコロナ危機の中で、働く人たちの状況はいよいよ深刻になっています。雇用危機から国民を守り抜くために、政府はあらゆる政策を動員し、責任を果たすことが求められます。

いっそう悪化する危険

 完全失業者数の200万人突破は、3年3カ月ぶりです。完全失業率も前月から0・1ポイント上昇し3・0%となり、こちらも3年3カ月ぶりに3%台となりました。悪化に歯止めがかかりません。

 産業別に働き手の減少幅(前年同月比)をみると、宿泊・飲食サービス業が28万人、卸売り・小売業が16万人でした。緊急事態宣言の解除以降も、消費の冷え込みによって厳しい状況が続いていることを浮き彫りにしています。

 8月の調査で減少の大きさが目立ったのは製造業での就業者数減です。前年同月比で52万人も減りました。リーマン・ショック後の2010年1月以来の下げ幅です。宿泊・飲食サービス業などにとどまらず、今後も幅広い産業で雇用不安が広がる危険が指摘されています。非正規雇用全体では、120万人も減少(前年同月比)しました。うち7割(84万人)は女性です。厚生労働省のまとめでも、コロナ危機で失職した人は急増し2日現在で6万3千人を超えました。しかし、これは「氷山の一角」でしかありません。

 求職者の数は増えているのに、企業の採用状況は好転しません。民間信用調査会社、東京商工リサーチの調査では、上場企業の「早期・希望退職」の募集が9月時点で1万人を超えました。その要因にコロナの影響を挙げる企業は少なくなく、同社は、雇用調整助成金の特例の終了が近づくと「年末から来年にかけ(退職)募集に拍車がかかる」と分析しています。

 雇用危機を招かないために今こそ政治が役割を果たすべきです。日本共産党は2日、政府への緊急申し入れで「リストラ・雇い止め防止宣言」を行うことなどを求めました。解雇規制などの労働法制の確立の前にも、あらゆる行政手段や政治的なアピールを通じて、解雇や雇い止めを抑止することが急務です。雇用調整助成金の特例措置の12月の打ち切りをやめるとともに、対象を中堅企業に広げることも不可欠です。

事業を維持できる支援を

 東京商工リサーチによれば今年1~8月に全国で休業や廃業、解散した企業は3万5816件で前年同期より23・9%増加しました。このペースだと年間5万3000社を超え、過去最多を更新する恐れがあるとしています。このほかコロナ関連の経営破綻は2月からの累計で600件です。

 倒産・廃業と、リストラ・解雇・雇い止めが進行する事態は絶対に避けなければなりません。「持続化給付金」拡充や、地域・業種の実情を踏まえた「地域事業継続給付金」制度の創設などは待ったなしです。雇用と事業を維持・持続できるよう最大限支援する政治を実現することが緊急の課題です。


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