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2020年9月9日(水)

GDP下方修正

アベノミクス破綻鮮明

内需主導型への転換が急務

図

 4~6月期の国内総生産(GDP)改定値が年率換算で実質マイナス28・1%へと一次速報値から下方修正された主な要因は、設備投資の大幅な落ち込みでした。安倍晋三政権が実施してきた大企業優遇政策の失敗を浮き彫りにしています。

 アベノミクスの看板政策である「3本の矢」の3本目は、「民間投資を喚起する成長戦略」でした。安倍政権は、大企業の「国際競争力」をつけるという口実で、法人税減税を含む大企業優遇税制を実施。国と地方を合わせた法人実効税率を、第2次政権発足時(2012年)の37%から、18年以降の29・74%まで引き下げました。

 ところが、大企業はもうけを増やしたものの、経済をけん引する設備投資に積極的に回すことはありませんでした。その結果増えたのは、内部留保です。12~20年の4~6月期を比較すると、8年間に大企業の内部留保が45%伸びたのに対し、設備投資はわずかに14%の増加にとどまりました。企業にとって事業活動の基盤となる土地・建物などの有形固定資産は3%の微増でした。

 その背景にあるのが内需の低迷です。安倍内閣による2度にわたる消費税増税や、実質賃金の低下により、内需の伸びは鈍化。企業の投資意欲も削がれてしまいました。

 そこに追い打ちを掛けたのが、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大です。国際通貨基金(IMF)は、コロナ危機により世界のGDPが累計で12兆ドル以上減少すると予測しています。

 日本のGDPの落ち込みは戦後最悪です。法人企業統計によると、非製造業の中でも特に内需に依存している「サービス業」で、設備投資が前年同期比マイナス27・6%と大幅減。さらに、資本金別では、「資本金1000万円~1億円」の中小企業がマイナス15・2%の減少となりました。内需依存型の産業や、小規模事業者への影響が深刻となっています。

 内閣府が公表した景気動向指数も12カ月連続で悪化するなど、記録的な落ち込みに見舞われています。大企業優遇政策から、内需主導型の政策へ転換することが喫緊の課題です。(小村優)


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