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2020年9月5日(土)

主張

国政私物化疑惑

首相退陣で幕引き許されない

 安倍晋三首相が退陣を表明したからといって、「森友学園」「加計学園」「桜を見る会」などの疑惑と国政を私物化した大問題を、絶対にあいまいにはできません。首相が任命した閣僚らの「政治とカネ」をめぐる疑惑の解明も決着していません。安倍首相に説明責任を果たさせるとともに、関係者を国会に招致するなど、真相を徹底究明することが不可欠です。

国民の疑問にこたえず

 安倍首相は8月28日の退陣表明会見で、一連の疑惑と国政私物化について記者から問われ、「私は、政権を私物化したつもりは全くないし、私物化もしていない」と開き直りました。あまりに無反省で、言語道断な態度です。

 大阪の学校法人「森友学園」に国有地が不当な安値で払い下げられた「森友」疑惑は、安倍首相や一時、名誉校長だった妻の昭恵氏の関わりを示す事実が次々と浮上しました。首相の「私や妻が関係していれば首相も国会議員も辞める」という国会答弁に合わせ、公文書から昭恵氏らの名前が削除される改ざんなどが行われました。財務省局長は記録文書を廃棄したと虚偽答弁をしました。民主主義の根幹を揺るがす大問題です。

 公文書の改ざんを強いられた近畿財務局職員の赤木俊夫さんは苦しみ抜いて自ら命を絶ちました。政府は、その経緯を明らかにしません。「真実が知りたい」と、財務省を相手に裁判を起こした赤木さんの妻・雅子さんが首相の退陣表明にあたって、「夫がなぜ自死に追い込まれたのかについて、有識者によって構成される第三者委員会を立ち上げ、公正中立な調査を実施していただきたい」と声を上げているのは当然です。

 首相の長年の友人が理事長を務める岡山の学校法人「加計学園」の獣医学部開設をめぐる疑惑も解明されていません。首相の意を受け便宜がはかられた疑いを示す文書の存在が明らかになっても、まともな調査をしていません。

 政府主催の「桜を見る会」に、安倍首相の地元後援会員らを大量に招待し、税金を使って飲ませ食わせさせていた問題も疑惑は深まるばかりです。招待者名簿を廃棄した隠ぺいや、マルチ商法の会長らが「首相枠」で参加したことなど徹底解明こそ必要です。都内のホテルで開いた「桜」前夜祭の収支をめぐる疑惑もあります。

 一連の疑惑と国政私物化では、菅義偉官房長官の責任も問われます。首相後継選びの自民党総裁選に出馬表明した記者会見で菅氏は、「森友」疑惑などの再調査を拒否しました。国民の声に真っ向から逆らうものです。安倍首相の辞任で帳消しにはできません。疑惑の幕引きを図る政治家にも政権を担う資格はありません。

無反省の政治終わらせる

 参院選広島選挙区の大規模買収で逮捕された河井克行前法相夫妻の事件や、政権の目玉政策「カジノ」をめぐる汚職で逮捕された秋元司元内閣府副大臣の事件でも首相には深刻な反省がありません。

 7年8カ月の安倍政権では、「政治とカネ」の問題などで閣僚らの辞任が相次ぎました。辞任のたびに首相は「任命責任」を口にするだけで、自ら責任を取る行動はしませんでした。モラル崩壊の極みです。“お友だち優遇”の横行と国政私物化を許した自民・公明の与党の責任も免れません。


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