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2020年8月28日(金)

東大漕艇部 定期的にPCR

クラスター発生避け、安全確保

運動部一丸で感染対策

同部部長 野崎大地教授に聞く

 東京大学の漕艇(そうてい)部(ボート部)が、新型コロナウイルス感染症の部内感染、クラスター(感染者集団)発生の確率を下げるため、PCR検査を始めています。同部の部長で、東大の運動部の感染対策にも携わる野崎大地教授に話を聞きました。(井上拓大)


 PCR検査を始めたきっかけについて、野崎教授は、感染者が増えてきている現状をみれば、部員に感染者が出現してもおかしくないと感じるようになったことだと話します。

OB会が補助

 「PCR検査を取り入れることで感染者をいち早く特定し、部内の感染、クラスター発生の確率を少しでも下げることが可能です。社会的に責任のある活動を行うこと、部員や家族の安全・安心を確保する上で意義あることだと考えています」

 検査方法は、唾液を検体にしたPCR検査です。2週間に1回の定期検査に加え、体調不良者が出た場合、体調不良者およびハイリスクと判断される部員について即時検査を行う予定です。感染リスクが高まる冬場も継続的な検査をするために、数人分の唾液をまとめて調べるプール検査の導入も検討しています。

 わざわざ検査を受けることで陽性判断されることに不安を覚える部員についても、部活動を安全に行うために必要であることを十分に説明し、納得してもらったといいます。

 「漕艇部が検査費用の補助を同部OB会『淡青会』に申し出たとき、PCR検査を取り入れることに一切異論はでず、費用は掛かるがやるべきだと言ってもらうことができました。PCR検査の重要性が、十分に認識されていたのだと思います」と野崎教授は説明します。

組織的に対策

 東大の運動部では、クラスターが発生した事例はありません。野崎教授は、運動部が活動を再開するにあたり、学生を中心にすべての部が一丸となって徹底した感染対策を実施したことが大きく貢献しているのではないかと言います。

 具体的には各部ごとに、どのような感染対策をするか、どのようなスケジュールで活動を拡大するかを運動会の感染対策委員会に承認してもらう必要があります。野崎教授は「毎朝、毎晩の体温データ、行動データが感染対策委員会に集約され、体調不良者は軽度であっても自宅待機などの措置が必要です。他の大学では類を見ない組織的感染対策活動です。多くの人に知ってもらいたい」と強調しました。


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