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2020年8月26日(水)

主張

河井夫妻の初公判

政権の責任が改めて問われる

 昨年7月の参院選広島選挙区での大規模買収事件で逮捕・起訴された河井克行前法相・衆院議員と妻の案里参院議員(いずれも自民党を離党)の初公判が東京地裁で開かれました。2人の刑事責任の追及は当然ですが、改めて問われるのは安倍晋三首相ら政権中枢と自民党本部の関与と責任です。新人の案里被告を官邸主導で参院選に擁立するとともに、破格の資金を投入し、全面バックアップしていたからです。党本部からの金が買収資金の原資に充てられた疑惑が深まっています。裁判での解明とともに首相らに説明責任を果たさせることが重要です。

買収資金の出所が焦点

 河井夫妻による公職選挙法違反の大規模買収は、案里被告の当選のため、100人の地方議員や首長、後援会員らに計約2900万円の現金を渡して票のとりまとめなどを依頼したというものです。

 公職選挙法は第221条で、「当選を得若(も)しくは得しめ又は得しめない目的をもつて」金銭、物品その他の財産上の利益を供与したときは、懲役、禁錮、罰金に処するとしています。議員が罰金刑以上の有罪になれば、失職します。

 票を金で買うのは選挙を汚し、民主主義の根幹を揺るがす重大な違法行為です。事の重大性に照らせば、河井夫妻は即刻、議員を辞職すべきです。

 地方議員らのほとんどは河井夫妻から現金を受け取った事実を認めています。河井被告側は、初公判でも否認しました。しかし、「選挙目的ではない」などとの主張には、説得力はありません。

 見過ごせないのは、克行被告が金を渡す際に、「安倍さんから」と言ったという地方議員の証言まであることです。自民党本部から河井陣営に振り込まれた1億5000万円もの巨額の選挙資金が、河井陣営の買収の元手になった疑いが濃厚です。

 広島選挙区のもう1人の自民党現職候補者の10倍と言われる巨額の資金提供は、党総裁である安倍首相の指示がなければできないと指摘されています。選挙では安倍首相の秘書が応援に入ったほか、党本部から資金が入金された前後には克行被告が官邸で複数回、首相と単独で面会したことも明らかになっています。公選法は買収目的と知って資金を提供すれば、提供した側も買収目的交付罪にあたるとされています。首相がどのようにかかわっていたのか、説明責任を免れることはできません。

 自民党本部からの1億5000万円の8割は税金で賄う政党助成金だと報じられています。国民の血税が違法な買収に使われればそれ自体大問題です。首相も自民党本部もごまかしは許されません。

首相は国民に説明せよ

 広島選挙区に案里被告を担ぎ出しテコ入れしたのは、安倍首相に批判的な現職議員(落選)に対抗するための首相の強い意向だったといわれます。克行被告は首相や菅義偉官房長官の側近として重用されてきました。昨年秋の内閣改造で克行被告が法相として初入閣したのも、安倍政権での“お友だち”優遇の表れです。

 法相経験者が買収で逮捕・起訴されたのは前代未聞です。口先だけで「任命責任」を言うだけでは済まされません。安倍首相は大規模買収事件の真相について、国民の前で説明すべきです。


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