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2020年8月24日(月)

ひっ迫、沖縄の医療体制

国の責任で財政支援急げ

 沖縄県の玉城デニー知事は21日に県庁で記者会見を開き、県内の新型コロナウイルス感染拡大について「厳しい状況が続いている」と述べ、「医療体制と公衆衛生体制を守り、病床の確保や検査体制の拡充等に取り組む」と、改めて決意を示しました。感染拡大の波を乗り切るため、国の責任ある支援が求められています。(小林司)


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(写真)記者会見するデニー知事=17日、沖縄県庁

知事、病床確保に全力

人口比の感染は

 米軍関係を除く県内の感染者は、21日、新たに30人が確認され、累計1834人になりました。1週間の新規感染者数(20日時点)は10万人あたり27・45人で、2番目の東京(同13・78人)のほぼ2倍となっており、21日連続で、全国で最も多い割合になっています。

 デニー知事は病床確保について、11日の記者会見で、当初計画では200床としていた病床確保数を425床に引き上げると発表。病床は徐々に増えて21日現在、400床となり、病床占有率は88・5%と9割を下回りました。重症は16人で重症者用病床占有率は57・1%、中等症は116人(いずれも21日正午時点)になっています。

 軽症者・無症状者用の宿泊療養施設(ホテル)については、先月30日に60室の運用を開始し、340室(21日現在)にまで拡充させました。デニー知事は「今年度末までの宿泊療養施設の確保やPCR検査の拡充など、必要な補正予算の編成作業を進めている」(21日記者会見)と述べました。

 新型コロナウイルスに関連した死亡報告は、21日時点で累計18件。8月に入ってからは11件です。

 20日に死亡が発表された60代男性と80代女性は、いずれもクラスター(感染者集団)が発生した病院に入院しており、院内感染とみられます。県によると院内感染とみられるケースで死亡した感染者は、累計3施設4人になるといいます。

 県内のクラスターは福祉施設や保育所、小学校など計15カ所(21日時点)で発生し、うち4カ所は病院です。医療従事者やスタッフの感染、濃厚接触による就業制限が多発し、看護師など医療従事者の確保が厳しくなっています。

看護師派遣要請

 デニー知事は、全国知事会に50人規模の看護師の派遣を要請。全国知事会は18日、10人の看護師を5県から派遣することを発表しました。

無症状濃厚接触も検査

 県内の検査体制をめぐっては、感染拡大によってPCR検査の依頼が増加したことから、県内の医療機関や保健所が対応に追われ「各医療機関の機能が停止し、重症者に対する治療も困難になることが懸念される」(7日の記者会見でデニー知事)という状況になっています。

 緊急措置として県は検査を、症状のある人と、濃厚接触者のうち、重症化リスクがある人や医療・介護従事者等に集中化する方針をとらざるを得ない現状です。

 デニー知事は、検査体制の拡充にも取り組んでいることを強調。「7月最終週の1日あたり平均の検査実施数が約300件だったが、8月の直近1週間は1日あたり約500件まで拡充している」(17日記者会見)と述べました。

 県は、PCR等検査を受けることができる107の医療機関と契約を結び、一部ではすでに検査を始めています。デニー知事は21日の記者会見で「濃厚接触者で無症状の場合であっても、これら医療機関につないで検査を受けることができる」と説明しました。

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(写真)那覇空港内に設置されている旅行者専用相談センター「TACO」=22日、那覇市

 県は水際対策として那覇空港などに旅行者の相談支援や、新型コロナ関連の情報収集・発信を行う「TACO(タコ)」と呼ばれる旅行者専用相談センターを設置しています。

 那覇空港では6月に同センターの稼働を開始し、県内に入ってくる人が、サーモグラフィーなどによる検温で発熱が確認された場合は、問診と検査の受診依頼を行い、検査につなげるようにしています。

 デニー知事は、以前から、沖縄県への新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、出発前に出発地で検査を受けられるように国が支援することを求めてきました。14日の記者会見でも「国が法的・財政的整備を進めるべきだ」と訴えました。

 デニー知事は、今後のさらなる医療提供体制拡充、感染拡大でダメージを受けた沖縄経済の早期回復のため、直接国に財源の確保を求めていく方針も示しています。

「GoTo」影響

 県内の米軍基地関係の感染は、21日にキャンプ・コートニー(うるま市)で1人が確認され、累計356人。米軍基地従業員は累計14人の感染が確認されています。

 日本共産党の渡久地修沖縄県議団長は、沖縄で米軍関係の感染が拡大する中、国が感染拡大に何の対策もとらないまま「Go To トラベル」を実施したことを指摘。「米軍基地が集中し、観光立県でもある沖縄は被害をもろに受けている。安倍政権は責任を持って解決しようとせず、地方自治体に押し付けている」と述べました。

 渡久地氏は「県は一生懸命頑張っている。大事なのは国の責任で検査を広げ、医療体制強化し、地方自治体を財政的に支援すること。必要なら権限も移すことだ」と強調しました。


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