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2020年8月18日(火)

きょうの潮流

 神はモーリシャスというパラダイスをつくり、それをまねて天国をつくった―。『トム・ソーヤーの冒険』の著者、マーク・トウェインはかつてこの島を訪れたとき、こう語ったと▼インド洋のアフリカ寄りに浮かび、美しく透き通った海に囲まれた東京都ほどの島。以前は『不思議の国のアリス』にも出てくるドードー鳥が生息していたほど多様な生き物に富み、自然保護や環境保全に力を入れています▼世界屈指のリゾート地としても知られる「楽園」が黒く汚されました。沖合で座礁し、大量の重油を流出させた日本企業の貨物船によって。希少生物が数多い保護区の近くで、サンゴやマングローブ林をはじめ生態系への影響は計り知れません▼油まみれになりながら、流れ着いた重油を手作業で取り除く地元の人たちやボランティアの必死な姿。マスクや手袋が不足し、体調を崩す人も続出しているといい、健康面も心配されます▼先月25日に座礁し、モーリシャス政府が環境上の緊急事態を宣言したのは今月7日。現地では対応の遅さが批判されていますが、日本の専門家チーム6人が派遣され活動を開始したのは、事故から半月以上もたった後でした▼コロナ下での制限はあるとはいえ、物心両面からの早く手厚い支援はできないのか。観光業が落ち込む最中に追い打ちをかける環境破壊。住民は不安を募らせています。事故の深刻さに世界が衝撃を受けているなか、日本政府はひとごとのような姿勢を改め、回復に力を尽くすべきです。


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