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2020年8月13日(木)

PCR検査拡充を

医師会有識者会議の提言に見る

 日本医師会COVID―19有識者会議は5日発表の緊急提言で、新型コロナウイルス対策として、「感染制御のためのPCR検査」や抗原検査の拡充を求めています。

 提言は、濃厚接触者を追跡する「クラスター対策」は、感染経路不明の患者が増加した段階では後手に回り、感染を抑止することは困難だと指摘。「本感染症は無症状例が多く、隠れた地域内流行が存在する」として、感染症対策とともに「経済を回す上からも感染管理の必要な人たちが検査を受ける必要がある」としています。そのため、▽高機能検査機器を導入し、PCR検査および抗原検査の実施能力を大幅拡充▽行政検査における対象者を拡大し、検査へのアクセスを大幅に改善▽無症状陽性者の早期発見のために、有病率によらず容易に検査を受けられる体制の確立―など6項目を挙げています。

 提言は同有識者会議が設置した「COVID―19感染対策におけるPCR検査実態調査と利用推進タスクフォース」の調査結果に基づき作成されました。

 タスクフォースがとりまとめた7月21日付の「中間報告書解説版」は、「PCR検査の利用目的と意義」を(1)患者の診断(個別の患者診療)(2)公衆衛生上の感染制御(感染を広げる前に陽性者を発見し、隔離する)(3)ヘルスケアによる社会経済活動の維持(4)政策立案のための基礎情報―に分類し、状況に合わせて適切に利用することが重要だと指摘。「我が国特有の議論」として“感染の可能性が低く、無症状の場合にはPCR検査の実施を制限すべき”という意見が強いものの、感染制御や社会経済活動の維持などの観点からは「事前確率(感染の可能性の高さ)によらずともPCR検査を活用すべき」としています。

 同報告書の作成に参加した、キングス・カレッジ・ロンドンの渋谷健司教授(公衆衛生学)は『文春オンライン』への寄稿で、「臨床目的の理論を感染制御や社会経済活動の維持という目的に当てはめて、検査を制御する日本独自の考えはもう脱却し、検査と隔離を本格的に基本戦略に据えるべき時だ。そうでなければ、この秋以降の世界的第2波に対応できない」と語っています。


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