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2020年8月10日(月)

長崎からすべての国の政府への手紙

原水爆禁止2020年世界大会実行委員会

 原水爆禁止2020年世界大会実行委員会が9日発表した「長崎からすべての国の政府への手紙」を紹介します。


 75年目の長崎原爆の日、CОVID―19パンデミックのもとで、オンライン開催となった原水爆禁止2020年世界大会にあたり、私たちは、「核兵器のない平和で公正な世界」をすみやかに実現するため、世界のすべての政府がいまこそ行動するよう訴えます。

 核兵器は、いまなお全人類にとっての脅威です。ヒロシマ・ナガサキそして被爆者たちの証言は、核兵器の使用がいかに非人道的な結末をもたらすかを示しています。二つの都市では、その年の末までに20万人をこえる市民の命が奪われ、生き延びた被爆者には後遺症の苦しみとともに、社会的な差別と貧困がもたらされました。その子孫たちもまた遺伝的影響の不安にさらされています。

 核兵器の使用は人間の命と尊厳を根底から否定します。その使用は、いかなる理由によっても許されません。この非人道性を直視し、禁止と廃絶に踏み出すことは為政者としての責任です。

 CОVID―19によって、すでに70万人をこえる人々の命が奪われています。貧困層はじめ社会的弱者への感染拡大が深刻化しています。国連は、その「75年の歴史において、ばく大な破壊力を持つ兵器により安全保障を確保しようとする愚かさがこれほど明らかであったことはありません」と表明しています。新たな核開発はじめ軍備増強に約2兆ドルが浪費される現状をただちに是正し、これらの資金を生活と雇用、公衆衛生などのために振り向けることが必要です。

 核軍備撤廃への交渉の義務は、核不拡散条約(NPT)によって核兵器国を含むすべての国が一致して受け入れたものです。核兵器国が「自国の安全」を理由に、核兵器廃絶の誓約や合意をほごにすることは重大な背信であり、決して許されるものではありません。

 国連総会第1号決議に示されたように、核兵器の廃絶は戦後国際政治の出発点です。すべての国の政府が、ヒロシマ・ナガサキ、そして被爆者たちの警告を思い起こし、人類を核兵器による破局から救うために以下の行動をおこすよう訴えます。

――被爆者の声に耳を傾けること。核兵器の非人道性を告発する活動を積極的にすすめること。これに尽力する被爆者や市民社会の活動を支援すること。

――核兵器禁止条約への署名と批准をすみやかに行うこと。さらに、発効のための国際協力を促進すること。

――第75回国連総会と軍縮審議、次回NPT再検討会議などを機に、NPT第6条の核軍備撤廃について交渉し、完結する義務をはたすこと。また、自国核兵器の完全廃絶の「明確な約束」や、核兵器のない世界実現への「枠組みをつくる特別の努力」など、これまでの合意を再確認し、その履行とさらなる前進をはかること。

――すべての核保有国は、核兵器の増強・近代化など核軍備撤廃に逆行する行動をただちに停止し、核抑止政策を放棄して、核兵器廃絶にむけ誠実に努力すること。

――軍事費を大幅に削減し、国民一人ひとりの命と安全、そしてその尊厳を最優先する政策へと転換すること。

 核兵器やパンデミックとともに、気候変動や貧困問題など、グローバルな危機を解決するためには、諸国政府と市民社会の共同が不可欠です。核兵器のない平和で公正な、そして持続可能でジェンダー平等の世界を実現するために、私たちはあなた方とともに行動します。


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