しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2020年8月9日(日)

主張

コロナ感染急拡大

臨時国会の召集を一刻も早く

 急速に再拡大する新型コロナウイルス感染を抑え込めるかどうか、いま重大な局面に入っています。ところが安倍晋三政権は、有効な対策を打ち出していません。PCR等検査の拡充は見合った規模にはおよばず、ひっ迫の恐れがある医療提供体制の強化も依然遅れています。業者への休業要請も徹底した補償と一体でないため、実効性が伴いません。国会で与野党が議論し英知を集め、本格的な対策を練り上げる時なのに、政府・与党は野党からの臨時国会召集要求を受け入れません。あまりに無責任です。姿勢を改め、直ちに国会召集を決断すべきです。

抑止のための審議不可欠

 新規感染者が毎日のように最多を更新する中でお盆の移動シーズンを迎え、不安と懸念は広がります。政府の新型コロナ対策分科会でも、沖縄県などで感染拡大のスピードが速いと警告されたのをはじめ、東京にとどまらず急拡大を示していることは深刻です。ところが、安倍首相は、重症者が少ないことなどを挙げ、感染を広げかねない「Go To トラベル」を見直そうとしません。国民に協力を求めるばかりで、自ら抜本対策を講じないことは大問題です。

 政府は7日、コロナ対策の予備費(10兆円)から、約1・1兆円を中小企業のための持続化給付金などの支給のために支出することを決定しました。持続化給付金の申請の増加が見込まれるため、それに対処するものです。生活困窮者への無利子融資や入国者の検疫体制強化の経費も計上しました。これらの支出は必要ですが、問題は今回の支出に、PCR検査拡充など感染拡大抑止の本格的な対策経費が全くないことです。

 いま急がれるのは、PCR検査を大規模に実施し、無症状の陽性者を見つけ保護することです。それには感染震源地(エピセンター)での集中的な検査が重要です。東京都医師会では、都内の医療機関1400カ所を目標に、PCR検査を拡大する方針です。国に求められるのは、これらの取り組みをしっかり支える予算措置です。

 病床不足の解消も急務です。ほとんどの医療機関は、先のコロナまん延期の対応による大幅減収に苦しんでいます。医療現場のスタッフも疲弊しており、いまの感染再拡大に備えた体制をつくるには、政府による強力な支えが不可欠です。医療機関への直接的な赤字補てんなどは切迫した課題です。

 緊急性のある検査・医療対策を予備費で手当てしない政府の姿勢が問われます。国会で政府の認識とやり方をただし、改善させることが一層重要になっています。

説明放棄の姿勢問われる

 憲法53条に基づく野党の臨時国会召集要求に応じるのは、政府の法的義務です。先の国会会期末の6月、感染拡大に備え野党が大幅延長を求めたのに、強引に国会を閉じた政府の姿勢こそ重大です。召集を拒む理由はありません。

 国民の危機に、首相が1カ月半近く国会に出席せず、記者会見もしないのは異常です。やっと6日に広島市で約15分の会見をしても、質問にまともに答えません。官邸職員が記者の質問を乱暴なやり方で制止したことは、報道の自由に関わる事態です。国民に向き合い、政府の方針を丁寧に説明することが首相の最低限の責任です。任務放棄は許されません。


pageup