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2020年8月7日(金)

ヤマト告発「受理」

元支店長会見 引っ越し不正

高知県警に提出

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(写真)会見する元支店長の槙本元さん(右)と、支援者として同席した高知県労働組合連合会の樫原正彦副委員長=6日、高知市内

 運輸大手ヤマトホールディングス(HD)傘下の引っ越し会社が顧客企業従業員の引っ越し料金を水増しし受け取っていた問題で、元同社支店長の男性が高知県警に提出していた詐欺容疑の告発状が受理されたと、男性らが6日、高知市内で会見し明らかにしました。

 不正をしていたのは、ヤマトホームコンビニエンス(YHC)。この問題は「赤旗」日曜版が2018年7月に特報しました。告発代理人の原和良弁護士によると、受理は7月14日付。捜査が始まる可能性があります。

 告発状を提出していたのはYHC四国法人営業支店長などを歴任し17年に退職した槙本元さん(67)。

 今年7月付の告発状によると、YHC社の四国法人ソリューション支店長だった社員ら3人は18年5月、高知県と愛媛県であった半導体企業従業員の引っ越しで、従業員3人分について▽実際の荷物量を大きく超える見積書▽必要のなかったオプション作業をしたかのような見積書―を作成するなどして引っ越し料金を水増しし、半導体企業から本来の料金との差額、約29万円をだまし取った疑い。

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(写真)ヤマト引っ越し不正をスクープした「赤旗」日曜版2018年7月1日号

 槙本さんは退職後の18年、日曜版に不正を証言。日曜版は不正が行われた引っ越し作業を現認し、YHC社内で作成・使用されていた「裏文書」も入手して同7月に詳報しました。

 これを受けてヤマトHD社長らが都内で会見し、▽全国に120あまりある事業所のほとんどで不正が行われていたこと▽少なくとも2年間で17億円の被害が確認されたこと―などを認めて謝罪。翌年、国土交通省が事業停止などの行政処分と事業改善命令を出しました。

 槙本さんは「現職時代に社内で複数回、不正を告発したが、改まらなかった。報道を受けて社が不正を認めた後も、関係者がまともな処分を受けていない。それでは再発防止もままならないのではないか。刑事処分が必要だと考えた」と話しています。

 告発状は、証拠の関係で対象を四国での引っ越しに絞っています。同時に、これらが「事件のわずか一端。不正は全国で行われた。引っ越しの出発地と到着地の支店同士が通じ合っていないと成り立たない不正だ」との趣旨の指摘もしています。

 原弁護士は会見にあたっての声明で「グループ企業を統括するヤマトHDも(不正を)十分認識し、黙認・助長していたと考えている」と述べ、「組織的・継続的犯罪行為の全容解明」を求めました。

 ヤマトHDは「告発が受理されたことは承知している。会見の内容は承知していないので回答は控える。捜査が行われれば全面的に協力する」とコメントしました。(安川崇)


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