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2020年8月6日(木)

きょうの潮流

 閃光(せんこう)、ごう音、爆風や赤い炎。全身に突き刺さったガラスの破片、電車のつり革を持ったまま骨になった人、がれきの山に合掌する母親、火葬場と化した校庭…▼広島の高校生の手によってよみがえる、あのときの記憶。体験者の証言をもとに、市立基町高校の生徒たちが描いた原爆の絵画展が、きのうから広島国際会議場で始まりました。10年以上続くこのとりくみは『平和のバトン』と題した本にもなっています▼爆風で飛ばされ気絶した証言者が最初に目にした「暗闇の中の真赤な太陽」。その光景を描いた16歳の岡田友梨さんは当初、原爆についての知識がほとんどなく、絵に入れる大八車やゲートルもわからず大変だったといいます▼映画「ひろしま」や当時の写真を見てイメージをふくらませたという岡田さん。体験をそのまま伝えるのではなく、自分なりに解釈した恐怖や不安な気持ちも感じてもらえたらと。「大切なのは表面的ではなく、体験した人の痛みや悲しみにむきあうことだと思う」▼被爆者との共同制作を通して、原爆や戦争、そして平和について自分から学び知り、深く考えるようになった。とりくみに参加した高校生は口々に。記憶を記録するために証言集をつくったり、みずから語り部となる若者の姿も▼あの悲惨がふたたび現実とならないように、われわれは次の世代や未来へどうやって伝え残し、発信していくか―。被爆から75年の8月6日。戦争体験の継承が問われているいま、ヒロシマからの呼びかけです。


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