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2020年7月29日(水)

主張

米軍コロナ感染

基地あるが故の爆発的拡大だ

 米軍基地内での新型コロナウイルス感染者数が、とりわけ沖縄県で「爆発的」(玉城デニー知事)に拡大しています。県の発表によると、28日正午現在で239人に達し、急増している県内の感染者数231人を上回っています。日本の国土面積のわずか0・6%にすぎない沖縄県に在日米軍専用基地面積の70%が集中していることに起因する、基地あるが故の極めて深刻な事態です。

占領者意識も背景に

 沖縄県の米軍基地内の感染者数は7月に入り激増しました。これまでの米軍基地内の感染者数239人のうち大半の236人が7月に確認されています。

 基地別の感染者をみると、▽嘉手納基地7人▽キャンプ・マクトリアス1人▽普天間基地109人▽キャンプ・ハンセン119人▽牧港補給地区1人▽キャンプ・フォスター2人―となっています。米空軍の嘉手納基地を除けば、全て海兵隊基地です。

 少なくない米軍関係者が基地の外に住み、基地内で働く日本人従業員もいます。感染拡大に対する県民の懸念、不安は当然です。

 在日米軍司令部は21日、米国防総省の方針に従って明らかにしてこなかった基地ごとの感染者数の公表を始めました。

 それによると、沖縄以外は▽米空軍三沢基地(青森県)3人▽米空軍横田基地(東京都)4人▽米海軍横須賀基地(神奈川県)9人▽同厚木基地(同)3人▽米陸軍キャンプ座間(同)1人▽米海兵隊岩国基地(山口県)3人―などとなっています(24日現在)。

 同司令部は24日には、海外から在日米軍基地に直接入国する軍人・軍属やその家族ら関係者全員にPCR検査を義務付ける指示を出しました。これまでも在日米軍基地にチャーター機などで入国する際、到着後14日間の移動制限は課せられていましたが、無症状の場合、PCR検査は行われていませんでした。今後は、移動制限期間中の10日目~14日目の間に検査を実施するとしています。

 日本政府は、感染者数の公表を拒否し、感染拡大防止策の徹底にも消極的だった在日米軍をかばい続けてきました。「状況を動かしたのは感染拡大に対する住民や自治体、(米軍基地のある都道府県でつくる)渉外知事会などの危機感」(沖縄タイムス26日付)です。

 しかし、在日米軍の対応はあまりにも遅すぎます。在韓米軍が早くから米軍関係者の感染者数を公表し、入国時と移動制限期間終了時の2回にわたりPCR検査を義務付けていたのとは対照的です。日韓での違いは、米軍が日本、特に沖縄に対し占領者意識を持ち、属国扱いしていることが背景にあるとの指摘もあります。

 沖縄では、感染が依然深刻にもかかわらず、海兵隊が28日に基地外での行動制限を緩和し、食料品店での買い物や屋外での運動などを認めたことは重大です。

普天間基地など閉鎖を

 日米地位協定によって米軍には基地の独占的な管理権が与えられています。日本政府による感染防止措置は基地内に及ばず、米軍が公表する感染者数が正確かどうかを確認するすべもありません。地位協定の改定はもちろん、感染拡大を防止するためにも、集団感染が発生している普天間基地などの閉鎖が緊急に求められています。


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