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2020年7月28日(火)

主張

首相の“だんまり”

国会から逃げるのは許されぬ

 新型コロナウイルス感染の再拡大や観光需要喚起策「Go To トラベル」事業をめぐる大混乱、相次ぐ豪雨災害での被災者の救援と復旧など、重大課題が山積しているのに、安倍晋三首相は国会の閉会中審査にも出席せず、正式な記者会見も開かず、国会と国民への説明責任を果たしていません。首相の“だんまり”は、行政府の長として許されることではありません。国民に語ることから逃げ続ける安倍首相には、政権を担当する資格自体が問われます。

国民に語る姿勢はなく

 通常国会の閉幕(6月17日)から1カ月余りがたちます。この間、首相が正式に記者会見したのは、国会閉幕直後の18日だけです。それ以外では政府が「Go To トラベル」事業を始めた7月22日や東京などでの新型コロナの感染拡大が顕著になった連休中の24日などに短時間、立ち止まって記者の質問に答えたくらいです。国会の閉会中審査にも1回も出席していません。

 通常国会の閉幕の際、日本共産党など野党はコロナ危機への対処をはじめ審議すべき課題はたくさんあるとして、会期の大幅延長を求め、少なくとも毎週閉会中審査を開いて、審議することを与党に認めさせました。野党が指摘した通り、東京都を中心にしたコロナ感染は全国的に再び拡大を見せ、検査・医療体制の強化や、補償と一体となった業種を限った休業要請などが切迫した問題になっています。ところが、安倍政権はまともな対策をとっていません。「Go To トラベル」事業は、東京を除外するかどうかやキャンセル料の補償問題で迷走を重ねたあげく、国民の懸念や不安にこたえず見切り発車しました。

 コロナへの対策や各地の豪雨災害だけでなく、河井克行前法相夫妻の大規模な買収事件や、「森友学園」問題に絡む財務省近畿財務局の元職員の妻が提訴した国家賠償請求裁判、国会閉幕の直前に政府が突然発表した陸上配備型の迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備中止と「敵基地攻撃能力」保有の議論など、首相から直接説明を聞き、国会で審議すべき問題は山のようにあります。

 安倍首相はこの1カ月余、記者会見や国会への出席をしなかったのに、首相と親しい橋下徹元大阪市長とのインターネット番組(6月20日)や右派的な月刊誌『Hanada』のインタビュー(7月2日実施、同誌9月号)には応じて、コロナ対策や外交・経済、憲法問題などを得々と語っています。自らと親しい仲間内では、持論や自説を展開しながら、国会や国民に対しては説明しないというのは、「国権の最高機関」と主権者を軽視する許しがたい態度です。

衆参予算委に出席せよ

 首相が近しい人には長時間語る場を設ける一方、国会などには出席しないのは、政策が行き詰まり、国民に語る言葉がないからです。政治とカネの問題での追及も恐れています。“身内”に対して総裁任期中の改憲を繰り返し約束するのは、改憲への執念を捨てない危険な姿勢のあらわれです。

 与党は野党が求める国政全般を審議する衆参の予算委員会などを早急に開き、安倍首相に一連の問題での説明をさせるべきです。それが、喫緊の課題です。


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