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2020年7月27日(月)

主張

各国で消費税減税

日本でも実施を決断すべきだ

 新型コロナウイルスの感染拡大が世界各国の経済を直撃する中で、付加価値税(VAT=日本の消費税にあたる間接税)を減税する国が相次いでいます。消費を活発化させ、打撃を受けた業界を支えることが目的です。世界の税務サービス会社アバララ(本社=米シアトル市)の資料によれば、付加価値税の税率引き下げなどを行った国は約20カ国です。日本は、コロナ前から、安倍晋三政権によって消費税増税が繰り返され、消費不況に突入していました。それだけに、消費税減税に踏み切ることは、経済を立て直す上でいっそう重要です。

需要喚起する効果を期待

 ドイツは1日、年末までの半年間にわたって付加価値税の標準税率を19%から16%に引き下げる措置を始めました。生活必需品などの軽減税率も7%から5%に引き下げました。イギリスも15日、飲食や宿泊、娯楽などの業種で来年1月12日まで、付加価値税の税率を20%から5%に引き下げる政策を開始しました。

 これらの動きについて日本の民間シンクタンク、第一生命経済研究所は「ドイツでは全ての品目が対象となるため、感染拡大が懸念される移動を伴わなくても需要喚起の効果が期待できる。また、イギリスのように業界を絞っても、単純に税率を下げるだけのため、事務経費を抑制できる可能性が高い」(22日発表のリポート)と指摘し、仮に日本が半年の期限付きで全品目軽減税率を導入すれば「Go To キャンペーン」より効果が見込まれると分析します。

 そのほか欧州では、オーストリアが1日から年末まで、飲食や出版などの付加価値税を10%から5%にします。ブルガリアも年末まで、レストランなどの税率を21%から10%に引き下げます。

 中南米やアジアでも減税を行っている国が少なくありません。韓国では、個人事業者の付加価値税の納税を年末まで免除することなどを2月に発表しています。それ以外に付加価値税の減税を検討している国もあり、今後増加が見込まれます。

 付加価値税や消費税は、国ごとに税率が異なり、仕組みもさまざまです。しかし、コロナ危機による深刻な不況から抜け出すため、各国が減税を有力な手段に位置付けていることは明らかです。

 経済協力開発機構(OECD)のグリア事務総長も3月、コロナ危機に対応するための世界の協調行動を呼びかける中で、「一時的な付加価値税の減税または猶予」を緊急政策の選択肢に挙げています。

5%減税で暮らし支えよ

 日本では、消費税が2014年4月に8%、19年10月に10%へ引き上げられ、コロナ危機以前から大不況を招きました。日本で消費税減税を行うことは、コロナ危機からの脱出だけでなく、経済を再建する上でも不可欠です。

 所得の低い人ほど恩恵があり、中小企業の経営を支える消費税減税は効果的な政策です。しかし、安倍首相は「消費税減税について、私は考えていません」(月刊誌『Hanada』9月号インタビュー)と否定する態度を崩そうとしません。各国政府と比べあまりにかたくなです。姿勢を改め5%引き下げの決断をすべきです。


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