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2020年7月24日(金)

主張

最低賃金の答申

生活守るための引き上げこそ

 厚生労働省の中央最低賃金審議会が2020年度の最低賃金について、現行水準の維持が「適当」とする答申を出しました。引き上げの目安額も示しませんでした。「引き上げ凍結」を求めた使用者側の主張を全面的に受け入れた結論であり、到底容認できません。今後、都道府県の審議会での議論を通じて、各地の最低賃金額は正式に決定されることになります。大幅アップと全国一律の最低賃金制を求める世論と運動がいっそう重要になっています。

コロナ危機で暮らし深刻

 今回の最低賃金改定で、安倍晋三政権は当初から、新型コロナウイルス感染拡大の影響を理由に、「今は雇用を守ることが最優先課題」などとして抑制の姿勢を明らかにしていました。引き上げを求める切実な国民の声に背を向け続けた安倍政権の責任は重大です。

 深刻なコロナ危機の中でもイギリスは、今年4月から最低賃金(25歳以上)を、全国一律最低賃金制の導入以来最高となる6・2%引き上げ、時給8・72ポンド(約1200円)にしました。コロナ危機から労働者、国民の生活を守るために、大幅引き上げと格差是正を決断するのは政治の役割です。

 日本の最低賃金は現在、1000円台は東京と神奈川だけで、17県が700円台です。最高の東京(1013円)でも週休2日で1日8時間働いても年収約210万円にしかなりません。国際的にみて日本はあまりに低水準です。

 重大なのは、医療・福祉などのエッセンシャルワーカーや、感染拡大でも休めない小売・飲食・サービス業の労働者が低賃金であることです。労働政策研究・研修機構の集計では、卸・小売業で22・7%、宿泊業・飲食サービス業で39・9%、医療・福祉で6・6%の労働者が最低賃金に近い賃金水準です。コロナ禍で懸命に社会を支えてきた人たちが希望を持ち安心して暮らせるために大幅アップに踏み切るべきです。また低賃金労働者の72・6%は女性です。最低賃金アップは、ジェンダー平等を促進する上でも重要課題です。

 全国一律最低賃金制を求める声は広がっています。自民党内に全国一律制の確立を求める議員連盟が昨年誕生するなど与野党を超えた動きとなっています。生計費に地域間格差がないことは全労連調査で明らかになっています。生計費を時給換算すれば、全国どの地域でも約1500~1600円です。世界で当たり前の全国一律制を導入しない理由はありません。

 日本共産党は、全国一律制を求めるとともに、最低賃金を全国どこでもただちに時給1000円に引き上げ、すみやかに1500円をめざします。時給1500円は、8時間働いて残業なし・週休2日で月約25万円になります。人間らしい生活をおくるための最低限の要求です。

中小企業支援策の強化を

 最低賃金引き上げには、中小企業支援策の抜本的強化が不可欠です。中小企業の賃上げ支援の国の予算を1000倍の7000億円に増額し、社会保険料の事業主負担分を減免するなどして賃上げを応援する施策が求められます。

 全国一律最低賃金制の確立や最低賃金の引き上げを求める意見書・決議は851自治体で可決されています。さらに世論を大きく広げ、政治を動かしましょう。


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