しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2020年7月16日(木)

日本共産党創立98周年記念講演会

心こもったビデオメッセージ

 15日の日本共産党創立98周年記念講演会にあたり、同志社大学大学院教授の岡野八代さん、翻訳家の池田香代子さん、憲法学者の小林節さん、政治学者の白井聡さんが、心のこもったビデオメッセージを寄せました。内容(要旨)を紹介します。


三つの「C」で声聴く政治

同志社大学大学院教授 岡野八代さん

写真

(写真)岡野八代さん

 みなさんこんにちは。日本共産党創立98周年ということで、どうもおめでとうございます。

 今年2020年は本来であれば、東京でオリンピックが開かれる年でしたけれども、それよりもおそらくみなさんには、1月に改定された党の綱領について話題になり、私もまさに新しい党が日本に生まれたという感慨を受けました。党の綱領の中にジェンダー平等を明記した日本共産党。まさにいま、このコロナの中、本当に私たちの声を聴いてくれる、そうした政治家、あるいは本当に必要な人に必要なものが届く、そうした政治を必要としていると思います。

 私はケアと民主主義といった研究をしていますけれども、この間、看護師、保育士、介護士の方、多くの女性たちが就く仕事に過重な負担がかかりながらも、あまりこれまで評価されてこなかった必要な仕事。共産党にはぜひ、コミュニスト(communist)のCと、ケア(care)のC、そしてもう一つ、コンサーン(concern)、人に配慮することのC。このトリプルCであと2年後の100周年を、さらに活気づいた日本共産党として迎えていただきたいと思います。

憲法守る大義の旗立てて

翻訳家 池田香代子さん

写真

(写真)池田香代子さん

 2015年9月19日の午前2時すぎに安保法制は可決され、その日の午後、共産党の志位さんは会見で「安保法制を廃止し立憲主義を取り戻すために国民連合政権を打ち立てよう」「一致しないことは棚に上げておこう」、うまくいくかどうか尋ねられると「お相手のあることなので」と言いました。なんと謙虚な、柔軟なことかと感動しました。この会見でこの国の政治は変わったと、のちの世の歴史は記録するだろうと思います。

 いま世界は新自由主義の反動が渦巻いています。憲法が権力を強化する方向に変えられてしまった国もあります。でも100~200年のスパンで見ると、憲法は人権を豊かにする方向でしか変わっていません。安倍長期政権によっても憲法が変えられないのは世界の趨勢(すうせい)、平和を愛する人々の思いが私たちの味方をしてくれるからです。

 もっと大きな味方は死者たちです。憲法をこのようにあらしめているのは、権力に人権を蹂躙(じゅうりん)され、戦争で命を失った人々です。人々の思いがつくりあげた憲法は容易に変えてはいけないことを私たちは日々の積み重ねで示してきました。共産党さんにはこの大義の旗を大地にしっかりと打ち立てるための重しの石であり続けてほしい。あと2年、一緒にお祝いをしたいと思います。

共産主義が評価される時

憲法学者 小林節さん

写真

(写真)小林節さん

 98歳おめでとうございます。あと2年間で100歳ですけど、それまで頑張ってぜひ政権に入ってほしいと願っています。

 最近の選挙を見てますと、肯定的な話をすれば、かつては夢物語だった野党共闘の形が見えてきた。そしてその中における共産党のイニシアチブ(主導)が高まってきたのが事実です。ただいつも惜しいと思うのは、よいたたかいをしている最後にいわゆる反共宣伝が出てきます。いろんな現場で拝見して、私は知ってるから反論しますけど、党員による反論が少ない。そういう批判を無視すると見ている中間層の人がひいてしまいますので、ぜひ言いがかりには反論してほしいと思います。

 共産党の最近の政策を見ていると、明日でも与党ができるような立派な政策を掲げています。大事な点は、共産主義という言葉は、国の富の目的を国民の福祉のために向ける、とてもいいことだと私は最近気づいています。それに対して資本主義とは、国の富の目的は資本家の喜びのために富を自己増殖する。あしき資本主義がいま花開いているじゃないですか。いまこそ共産主義が正当に評価されるべき時が来ていると思います。あと2年間、大変でしょうけどもめげずに頑張って、すばらしい100年目を迎えてほしいと思っております。

資本主義乗り越える結束

政治学者 白井聡さん

写真

(写真)白井聡さん

 党創立98周年おめでとうございます。今年はコロナ、それから水害で実にとんでもない年になってしまいました。コロナ危機の中でいよいよ状況はのっぴきならなくなっています。いまかかっているのはみなさんの命と、生活が立ちゆくのかどうかという非常に死活的な問題が立ちあらわれています。

 コロナ危機は発生の原因として、貧しい国や地域での自然の乱開発の問題があると思います。グローバルな南北問題からウイルスの感染症の多発が起き、出てきてしまったウイルスが先進国の方へと飛び火しています。

 アメリカなどで顕著ですが、はっきりと貧困層のほうが重症化したり死亡したりする確率が高い。命の不平等が生じる。もともと不平等であったところにコロナ危機がやってくると不平等が拡大されるということが起こるわけです。総じて資本主義の失敗だとみなすことができます。そういう中で資本主義とは何なのかと本質から考えて、乗り越えていこうと考える人たちの結束や協力がますます大事な時代になってきていると思います。

 結党以来、まさにそのことをテーマにやられてきた日本共産党さんの活躍の場と責任はますます高まっているのではないかなと思っております。


pageup