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2020年7月2日(木)

きょうの潮流

 歌と共に時代を駆け抜けた歌手ならではの決断でした。東京・渋谷のオーチャードホールで、緊急事態宣言解除後、初の大規模コンサートを行った加藤登紀子さん。先陣を切った挑戦に大きな注目が集まりました▼観客は全員マスク姿で市松模様を描くように着席。無観客でもやろう、と決めた時、東京都から「1000人以下、かつ収容定員の半分以下」の目安の緩和が示されました。「『お登紀さん、あなた(の出番)でしょ』と天から声が降ってきたような気がして…」。できることがあれば動く。その心意気に観客も大きな拍手でこたえます▼2月末、政府のイベント自粛要請に、いち早くこたえたのがライブ・エンターテインメント業界でした。ぴあ総研の調べでは、2月から5月末までに中止・延期したイベントは19万8000本。しかし損失補償はされず、多くの関係者が生活苦に直面しました▼「2、3カ月、経済がストップしただけで、多くの人が生きられないレベルの困窮に陥る社会は世界でも恥ずかしい」。これだけは書いてほしい、と本紙日曜版で加藤さんが語った言葉です▼NHK番組では、英国ロイヤルバレエ団で最高位のプリンシパルを歴任した吉田都さんが、日本ではダンサーが職業として守られていない、と話します。「芸術は生きる喜び、悲しみ、魂の叫びを表現…。人間が人間らしくあるために必要」▼コロナ禍であらわになる日本の政治の貧困。文化芸術をどう位置付けるか。国のあり方が問われています。


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