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2020年6月29日(月)

きょうの潮流

 アメリカでの警官による黒人殺害を機に世界で人種差別反対の運動が広がっています。イギリスでは、オックスフォード大学の建物正面の外壁にあるセシル・ローズの像の撤去が決まりました▼大学にはアフリカ出身者や黒人学生も多く、数年前から「ローズは倒れなければならない」運動が起こりました。撤去のオンライン署名には15万人以上が賛同。当局は、討議と熟考を経て、英国と世界に与える影響を十分意識して決定したといいます▼セシル・ローズと言えば、アフリカ大陸を南北に大きくまたぐ巨人の挿絵を覚えている人もいるのでは。現行の中学社会科教科書にも登場し、列強が植民地の資源や市場を求めて侵略を進めた象徴として扱われています▼太平洋戦争の始まった年に出版された本に『セシル・ローズと南アフリカ』(鈴木正四著)があります。ダイヤモンド、金の独占企業で大金持ちとなり、その力で本国面積の数倍の支配者となった「南アフリカのナポレオン」。日本への批判もこめられていました▼ローズいわく、「私たちが第一等の人種、私たちの住む世界が広がれば広がるほど人類は幸福である」。アングロサクソン民族優越の植民地主義者で、夜空に惑星を見れば「併合したいと考えた」とも▼青年ローズが初上陸したのが、南アのダーバン。2001年に同地で開かれた世界会議は「ダーバン宣言」を採択しました。植民地主義は「いつであれ、どこであれ非難されねばならない」と。像の撤去決定は、その一つです。


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