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2020年6月25日(木)

米朝交渉 日本政府と妨害

最強硬派ボルトン氏回顧録で明らかに

 【ワシントン=池田晋】ボルトン前米大統領補佐官(国家安全保障担当)は23日に発売されたトランプ政権在任時の回顧録の中で、2018年にトランプ大統領と金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長との史上初の米朝首脳会談で始まった非核化交渉の中で、ボルトン氏本人とその他の側近および日本政府が交渉の進展を妨害するため、いかにトランプ氏に働きかけたか内幕を明かしています。

 ボルトン氏はトランプ政権入りする前から、北朝鮮やイランへの軍事力行使を唱えてきた最強硬派です。

首相がくぎ刺す

 18年6月のシンガポール首脳会談実現にあたって、「私の希望はすべてがつぶれればいいということだった」と回顧し、積極的に仲介した韓国の役割を「この外交ダンスはすべて韓国の創作物」と冷ややかに描写。一方、日本政府の立場は「韓国とは正反対で、私の見解と非常に近かった」と共通の利害があったとの認識を示しています。

 ボルトン氏によれば、日本政府は“行動対行動”の原則で交渉が進むことを嫌がり、ボルトン氏と谷内正太郎国家安全保障局長(当時)の会談後、安倍晋三首相がボルトン氏の持論だったリビア方式による短期間での非核化をトランプ氏に逆に売り込んだエピソードを紹介しています。

 また、トランプ氏が前向きだった朝鮮戦争の終戦宣言に対しても、ボルトン氏と日本政府は反対し、安倍氏は米朝会談直前の日米会談でも、大幅譲歩をしないようトランプ氏に重ねてくぎを刺しました。

会談の退席進言

 19年2月のハノイ首脳会談にあたっては、「合意なしで退席」がトランプ氏の選択肢となるよう入念に事前説明を重ね、会談前には▽大取引▽小取引▽退席―の三つに選択肢を絞ることに成功。米側で実務協議を担っていたビーガン北朝鮮担当特別代表が主導した共同声明案についても、譲歩策が多いと巻き返しを図りました。

 19年6月の板門店の軍事境界線上での米朝首脳の再会について、ボルトン氏は「すべて気分が悪くなるものだった」と回想。実務協議再開を受け、米政権内で段階的な非核化を推す声があがったことについて、「ハノイで葬ったと思った方式がまた浮上した」などと述べ、すぐさま妨害策を講じたことを明かしています。


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