しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2020年6月25日(木)

主張

陸上イージス停止

辺野古新基地も白紙撤回せよ

 河野太郎防衛相が、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画を停止すると表明したのを受け、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設も白紙撤回すべきだという声が強まっています。河野氏は計画停止の理由に「コストと期間」の問題を挙げました。それならば、イージス・アショア(陸上イージス)配備と同等か、それ以上の費用と期間がかかる辺野古新基地をなぜ断念しないのでしょうか。陸上イージスは停止し、辺野古新基地は強行するという「二重基準」は成り立ちません。

あらゆる面ですでに破綻

 河野氏は24日、首相官邸で開かれた国家安全保障会議(NSC)の会合で、陸上イージス配備計画の停止を報告しました。

 防衛省はこれまで、陸上イージスの配備候補地として山口県の陸上自衛隊むつみ演習場(萩市、阿武町)と秋田市の陸自新屋(あらや)演習場を選定していました。河野氏は15日の記者会見で計画の停止を発表した際、迎撃ミサイルの発射後に切り離すブースターについて、民間地を避けて演習場内や海上に確実に落下させられないという技術的問題が明らかになり、その改修にはおよそ2200億円以上の費用と12年の期間が必要だとして「配備のプロセスを進めるのは合理的ではない」と述べました。

 陸上イージスは、防衛省の見積もりで、システム本体(2基)の取得費や維持運用費などで少なくとも約4500億円かかるとしてきました。しかし、これには配備候補地の施設整備費や迎撃ミサイルの取得費などは含まれていません。加えて迎撃ミサイルの改修に2200億円以上かかるとすれば、総額はさらに膨れ上がります。

 陸上イージスの計画停止発表を受け、沖縄県の玉城デニー知事は翌16日にコメントを出し、政府に対し「イージス・アショアの配備計画と同様に、相当なコストと期間を要する辺野古新基地計画を断念する」よう求めました。

 防衛省が新基地建設のために埋め立てようとしている大浦湾の海底には海面下90メートルの深さにまで軟弱地盤が存在することが明らかになっています。国内では前例のない地盤改良工事が必要で、防衛省は新基地の完成には約9300億円の費用と12年の期間がかかるとしています。

 防衛省や外務省の元幹部など有識者でつくる沖縄県の「米軍基地問題に関する万国津梁(しんりょう)会議」も今年3月の提言で「辺野古新基地建設の技術的、財政的な実現可能性は疑わしい」と指摘しています。陸上イージスも、辺野古新基地も、技術的・財政的に実現困難であり、地元県民の反対で政治的にも破綻しています。辺野古新基地が「合理的ではない」ことは明白です。

敵基地攻撃の検討やめよ

 河野氏は、陸上イージスの計画停止で地元自治体に謝罪しました。一方で辺野古新基地にはあくまで固執しています。沖縄の地元紙は「間違いがあれば認め、撤回する。…イージスではそうした。なぜそれが辺野古でできないのか」(沖縄タイムス17日付)と批判します。

 安倍晋三政権は陸上イージスの計画停止を受け、NSCで安全保障戦略の見直しに着手するといいます。その中でやるべきは、敵基地攻撃能力保有の検討などではなく、辺野古新基地建設の中止です。


pageup