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2020年6月19日(金)

国家安全法案

「自由と権利脅かす」

香港内外86団体、廃案求め書簡

 中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会が18日から開かれ、香港へ導入が決まった国家安全法案を審議するのを前に、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルなど86の団体は17日、国家安全法は「人権への破壊的攻撃」だとして、破棄を求める共同書簡を中国政府に送りました。

 香港への国家安全法の導入は、5月の全人代で決定されましたが、香港の民主派の弾圧に使われるものだと香港をはじめ国際社会から批判があがっています。

 書簡は、香港内外の86団体が、全人代の栗戦書(りつ・せんしょ)常務委員長に宛てたものです。法案の詳細は明らかになっていないものの、分かっている情報から「香港の人々の自由と基本的な権利を脅かす」ものであり、「政府への批判を含む幅広い、曖昧な“侵害”を犯罪とし、平和的に人権を行使し守る行動に対しても執行される」と指摘。「いかなる政府も、人民を抑圧する措置を正当化するために、国家安全を発動すべきではない」と述べ、同法案の破棄を求めました。

 全人代の決定では、中国政府が「国家安全」のための機関を香港で創設することも盛り込んでおり、書簡は中国本土で「恣意(しい)的拘束や活動家らへの拷問でしられる」国家安全部のような機関が香港で活動したり、香港政府が類似の機関を創設することは、「人権擁護活動家、独立メディア、反体制派だけでなく、根本的にはすべての市民にとって差し迫った脅威」だと批判。

 また香港の司法長官が、国家安全に関わる事案については「特別法廷」設置まで言及していることを挙げ、「容疑者は香港司法のもとでの公平な裁判を同じように享受できなくなる可能性がある」と強い懸念を示しました。

 全人代の決定は、「国際人権法にのっとる必要もなく、曖昧な文言」であり、「当局が幅広い権利と自由を乱用する余地を残している」と述べました。(鎌塚由美)


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