しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2020年6月16日(火)

主張

コロナ禍と災害

人間らしい避難環境の整備を

 日本列島の各地で梅雨入りし、大雨・豪雨被害への備えが問われています。台風の到来シーズンも近づいています。地震災害はいつ起こってもおかしくありません。

 新型コロナウイルス感染が収束しない中で、「3密」(密閉、密集、密接)状態といわれるこれまでの避難所に、国民の不安が高まっています。コロナのもとで、避難所や避難時の生活環境を改善することは、国民の健康や人権を守るために重要な課題となっています。

改善に政府は責任を持て

 政府はこの間、コロナ下の災害時における避難所での対応などについての「通知」、「連絡」の文書、「Q&A」を自治体に向けて相次いで出しています。

 コロナ感染を防ぐため「避難者の健康状態の確認」「十分な換気の実施、スペースの確保」「発熱、咳(せき)等の症状が出た者のための専用スペースの確保」「必要な物資資材の供給」などを明示しました。さらにホテルや旅館の活用も含めた「可能な限り多くの避難所の開設」「親戚や友人の家等への避難の検討」「自宅療養者等の避難の検討」などの他、必要経費に対する国の支援策も記載されています。

 これまでの一連の災害の教訓を踏まえて、政府は、避難所におけるプライバシーの確保、防犯、温かく栄養バランスのとれた食事、衛生および暑さ対策をはじめ、被災者の生活環境の向上のための指針も示しています。

 いま問われているのは、文書や指針を出して、後は自治体任せにするのではなく、提示した改善策を着実に実現するために政府が責任を持つことです。

 自治体が地域の実情に応じてとる対策に、政府が責任をもって財源保障をすべきです。政府は、2020年度の補正予算に盛り込んだ「地方創生臨時交付金」について、コロナ感染拡大のもとでの避難所での対応も使途の対象にしています。交付金に限度を設けるようなことはせず、自治体が必要とするすべての対策に使えるようにすることが求められます。

 コロナ感染が続く中で発生する豪雨・地震などの災害は「複合災害」であり、そこでは、地域のコミュニティーが果たす役割を改めて重視する必要があります。

 安全な避難場所の確認、備蓄・炊き出しや物資などの援助体制を生活圏の小さい単位で相談し、連絡網や役割分担、手順を検討・点検しておくことが求められます。避難所以外の被災者に、行政の情報や支援物資が確実に届くようにしておくことも欠かせません。

 もともと日本の避難所は、内閣府の文書でも「(東日本大震災での)避難所の生活環境については、国際的な難民支援基準を下回る」(「避難所運営ガイドライン」)という海外からの支援者の指摘を紹介するほど劣悪な現状です。コロナ禍は、これまでの避難所の矛盾を国民の前に一層鮮明にしたといえます。

憲法の理念にもとづいて

 当面のコロナ対策として、医療・検査体制の強化やマンパワーの抜本的拡充、国民への確実な補償はもちろん、この機に避難所における生活環境を人間らしいものに転換していく必要があります。「幸福追求権」「生存権」「ジェンダー平等」の保障をはじめとした憲法の理念にもとづく避難対策を、国の責任で進める時です。


pageup