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2020年6月11日(木)

雇用危機打開 検査拡充 学びの保障

新局面のコロナ対策 志位委員長が提案

衆院予算委

 日本共産党の志位和夫委員長は10日の衆院予算委員会で、新しい局面を迎えた新型コロナウイルス危機への対策として、雇用危機の打開、PCR検査と保健所の拡充、子どもたちへの学びの保障の三つの角度から具体的な提案を行い、安倍晋三首相の姿勢をただしました。(論戦ハイライト)

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(写真)質問する志位和夫委員長=10日、衆院予算委

雇用調整助成金の申請簡素化を迫る

 新型コロナウイルス感染拡大による営業自粛などによって約600万人が休業を強いられています。志位氏は、雇用調整助成金の相談件数と支給件数のギャップをあげ、「休業者への手当てが遅れれば大量解雇・倒産は避けられない」と指摘。添付書類なしのごく簡素な申請で審査は事後チェックというドイツの事例を紹介し、「(首相が)『思い切って発想を変える』『性善説に立って』と言うなら、ドイツのような制度への転換をはかるべきだ」と迫りました。

 安倍首相は「参考にさせてもらう」と答弁。志位氏は「600万人の休業者を救うためには制度を変えないとダメだ」と述べ、抜本的な転換を強く求めました。

保健所削減進めた政権の責任ただす

 さらに志位氏は、感染拡大の「第2波」の兆候を的確につかみ、感染拡大を早期に封じ込めるためにはPCR検査体制の抜本的強化が必要だと提起しました。

 志位氏は、広島、岩手、愛知など18道県知事の「緊急提言」を紹介して、これまでのように強い症状が出た有症者に対して受動的な検査を行うのではなく、無症状者も含め検査対象を適切かつ大規模に拡大した積極的検査へ戦略的転換をはかるよう提案。加藤勝信厚生労働相は「(病院関係者への)感染の可能性があれば、積極的疫学調査を行い、費用は公費で負担する」との見解を述べました。

 志位氏は、コロナ禍で保健所の業務が逼迫(ひっぱく)した背景には1990年以降の保健所削減の影響があるとして、「『第2波』に備えて、予算をつけて保健所体制の強化をすべきだ」と提起。安倍首相は「保健所は近年減少傾向にある」と認めながら、「役割分担の明確化や機能強化を進めるなかで保健所の集約化が進んだ結果だ」などと弁明しました。志位氏は、保健所の削減を「削減しすぎだ」と一喝した日本医師会の横倉義武会長の発言などをあげ、「今日の事態を招いた責任は安倍政権にある。反省すべきだ」と批判しました。

1クラス20人程度 教員は10万人増を

 教育の問題では、長期の休校によって、かつてない学習の遅れと格差が生まれています。志位氏は「一人ひとりの子どもに丁寧に寄り添い、心のケアにしっかり取り組む手厚い教育が必要だ」と強調。例年通りの授業をしようと詰め込みを行うと子どもに新たなストレスを与えてしまうとして、子どもの実態から出発する柔軟な教育を求めました。

 安倍首相は「子どもたちの心に寄り添いながらしっかりサポートしていく」「学習活動の重点化など教育課程編成の考え方を示し、最終学年以外の子どもたちは2、3年間を見通して無理なく、学習を取り戻せるよう特例を設ける」などと答えました。

 志位氏は、日本教育学会の提言をもとに小中高で10万人の教員増を提案。学校での感染拡大防止として政府が求めている2メートルの間隔をとるためには1クラス20人程度にしなければならないことを示し、「教員10万人増を実現し、それを全国の多人数のクラスに配置すれば、全国的にほぼ20人程度の授業が可能になる」と強調しました。安倍首相は「少人数学級に向けて努力を重ねてきた。コロナ後を見据え、検討していきたい」と答えました。

 志位氏は「現在の困難を乗り越えた後には、子どもたちに少人数学級をプレゼントすることになる希望ある政策だ」と指摘。コロナ後の社会について言及し、保健所、医療を削減し、教育のゆとりをなくしてきたことがコロナ禍でさまざまな矛盾を引き起こしているとして、「その反省と転換を強く求める」と訴えました。


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