2020年5月27日(水)
コロナ禍 地域スポーツの苦悩
総合型クラブ 86%停止状態 損失深刻
新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、活動が困難になったものの一つに地域スポーツがあります。緊急事態宣言の影響により、いまどんな実態にあるのか探りました。
「地域スポーツ崩壊の危機だと思っています。まだ出口は見えません」
公益財団法人日本スポーツクラブ協会の野川春夫理事長は重い口を開きました。
全国に3600あるといわれる総合型地域スポーツクラブ。そのサポートにあたる同協会は4月、全国の単一種目なども含めた地域クラブにアンケートを実施しました。そこで深刻な実態が浮き彫りになっています。
■施設使えず
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活動を「完全に停止」と回答したクラブは全体の3分の2。「大半の停止」も含めると86%に及びます。それに伴って、クラブの損失額が膨れ上がっています。
損失が100万以下のクラブは63・8%、101万~300万円以下が24・3%、501万円以上は5・5%と深刻です。
この状況で「経営のめどが立たない」と回答するクラブが4分の1に及んでいます。
地域クラブの活動拠点は、学校や市町村などの公共スポーツ施設が中心です。3月上旬に全国の小中学校が臨時休校となり、その後、公共施設も使えなくなりました。活動の場がなければ会員の会費は集められず、事務所の維持や指導員などの給料も滞る事態になっています。
公共施設の管理・運営にあたる指定管理者になっているクラブでは、その運営費の赤字も大きな負担となっています。
「コロナ感染を防ぐために施設の閉鎖は仕方ない。しかし、財政的な蓄えなどあるクラブはほとんどない。どこまで“体力”が持つのか。どうしたらいいかわからないという声も寄せられている」。野川理事長は危ぐします。
■最後は銀行
14種目600人の会員を抱える東京都大田区のクラブ「ピボットフット」は3月から活動を停止し、毎月300万円余の月謝収入がありません。いまは資金確保に奔走しています。
「持続化給付金や助成金、協力金などの申請をしています。でも、いまだにどれがもらえるのかわからない。最後は銀行融資をお願いするしかないと思っています」。桑田健秀理事長は語ります。
4月末からは、ヒップホップダンスやチアリーディングなどでオンライン教室を始めました。
「コーチの顔をみるだけでもみんな元気になる。子どもたちも家の中にばかりいるから、喜んでくれるのがよくわかる」と桑田理事長。一方、オンラインでの働きかけができない約100人の高齢者会員が心配といいます。
桑田理事長は今回の事態を経験し、地域スポーツの持つ大きな役割を改めて実感しています。
「コロナ収束後はもちろん、来年の東京五輪後も含めて、国民のスポーツ要求は確実に高まると思う。その受け皿になるのはわれわれのようなクラブ。地域の人々が気持ちよく体を動かし、健康を維持し、互いに結びつく。いま、僕らがここでつぶれるわけにはいかないのです」。事態打開に向けて気丈な言葉が返ってきました。(和泉民郎)
(随時掲載)