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2020年5月27日(水)

主張

緊急事態全面解除

第2波へ政府は本気の備えを

 安倍晋三政権が新型コロナウイルス感染症対策の緊急事態宣言を全国で解除しました。感染状況の変化などを分析・評価し、「総合的に判断」したものです。首相は25日の会見で「流行をほぼ収束できた」と述べました。しかし感染は完全に収まっておらず、次の感染の波がいつどのように起きるか予断を許しません。第2波への備えを急ぐことが不可欠です。安倍政権は、これまでの対策が極めて不十分で後手後手だったことを反省し、医療・検査体制の抜本的拡充、国民の暮らしと営業を支える補償の本格的な仕組みづくりに真剣に取り組む必要があります。

補償と一体さらに重要

 安倍政権が緊急事態宣言を出した4月7日から約50日間、国民は感染拡大を抑え込むために、外出自粛・休業要請などにこたえ、生活の先行きに強い不安を抱えつつ、人との接触を極力減らすよう我慢と忍耐の生活を続けてきました。

 感染を減少させてきたのは、国民の大変な努力によるものです。感染者数の急増で医療提供体制がひっ迫していた地域でもなんとか持ちこたえ、危機を乗り切りつつあるのも、医療関係者が昼夜をわかたず尽力してきた結果です。

 これに対し、安倍政権は、国民に「協力」を求めるばかりで、現場の不安と苦難にまともに向き合いませんでした。外出自粛と休業の要請と一体で補償をするという立場にたたないため、雇用でも、中小商店・企業の経営でも、文化・芸術などの分野でも、国民が大打撃を受けているにもかかわらず、深刻な事態に見合った規模での対策が講じられていません。国民世論によって「1人一律10万円の給付金」の実現をはじめ、雇用調整助成金の上限引き上げ、業者の家賃支援などが一定はかられましたが、あまりに後手の対応です。国民に届くスピードも遅すぎます。

 宣言を解除しても国民の暮らしと営業はすぐに元には戻りません。コロナ感染は長期化が不可避と言われており、補償と支援の仕組みの構築と一層の充実は欠かせません。国民が「新たな生活様式」を不安なく選択できるよう、政府の財政措置が強く求められます。

 医療・検査体制の立ち遅れの克服は一刻の猶予もありません。医師が必要と判断してもPCR検査が受けられないことは、宣言発令前から大問題になっていましたが、いまも万全とはいえません。医師会や自治体の努力で設置が進められているPCR検査センターへの財政支援をはじめ、第2波の端緒を早くつかむためにも、それが可能になる検査体制の拡充が急がれます。保健所に業務が集中し、疲弊する事態を解消するための人的体制の強化を行うべきです。

医療体制の拡充をはかれ

 流行ピーク時に必要とされる病床の確保数も、まだ政府の目標に到達していません。重症患者の集中治療室も不足しています。病床を空けてコロナに備える病院への財政的な支えはますます重要です。コロナ感染を避けるため受診を控える人の増加による医療機関の減収は極めて深刻です。地域医療が立ち行かなくなる事態を招かないための財政措置が急務です。

 いま必要なのは安倍政権のコロナ対策を点検し、克服へ手を打つことです。国民の命と健康、暮らしを守るため、再流行時に失敗を繰り返すことは許されません。


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