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2020年5月21日(木)

社協のコロナ特例貸付 入金まで2週間以上

人が全然足りない

毎日残業も追いつかず 国は責任果たせ

 コロナ危機で生活困窮が広がるなか、社会福祉協議会(社協)の生活福祉資金コロナ特例貸付は緊急の生活の支えです。しかし、殺到する相談に、窓口の対応が追いついていないのが実情です。「相談者への支援のため、抜本的な人員や予算増が必要だ」―職員たちが訴えます。(青柳克郎)


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(写真)大阪府内の社協の相談窓口

 特例貸付は、コロナの影響で休業や失業に追い込まれ、日常生活の維持が困難となっている世帯が対象。窓口は各地の社協や労働金庫です。緊急小口資金(上限20万円)と総合支援資金(単身世帯月15万円・複数世帯月20万円以内、3カ月以内)があります。生活福祉資金は通常1週間程度で入金されますが、いまは相談数が多く、都道府県社協による審査に時間がかかることもあって、多くの場合2週間以上かかっています。

 「この1カ月半で、うちの社協には1000を超える相談が寄せられています。職員総出で応対し、みんな毎日7、8時まで残業しています。たくさんの相談に当たるため、一つの相談は30分以内が鉄則なので、なかなか親身に話を聞けません」

維新府政で半減

 大阪府内の社協で窓口業務につくAさんが話します。維新府政のもと、この10年間で正規職員が半減させられ、緊急時に対応しきれない状況です。

 寄せられる相談は悲痛です。「仕事再開のめどが立たず、もう首をくくるしかない」という自営業者。「幼児と2人暮らしで、ともに発熱しているのに検査をしてもらえない。内職の仕事が減り、もうお金がない」と訴える女性―。社協では必要書類を簡略化するなどして、できる限り柔軟に貸付をしています。

 一方、入金まで時間がかかることから、カードローンで当面をしのぐ人も。Aさんは「これでは、相談者は安心して生活を再建させられません。手続きをもっと迅速・簡便にすることが必要です。返済を心配している人も多いので、給付制にすることも待ったなしです」と話します。

業務拡大したが

 首都圏のある社協には、ピークだった3月末~4月には毎日100件近くの相談が殺到しました。いまも毎日、数十件の相談が寄せられ、職員は午後8時ごろまでの残業が常態化しています。

 同社協職員のBさんが言います。

 「ただ、貸付ですべて解決するわけではありません。関係機関と連携して、就労や生活再建までフォローすべきです。しかし人手が足りず、そこまでできないのが悔しい」

 この間、社協は高齢者や障害者の権利擁護や安否確認、ボランティアセンターや困窮者支援など、扱う業務が大きく広がりました。一方で、職員は、それに見合うほどは増えていません。

 「いま来ている相談者のなかには、生活保護を受給できる人も少なくありません。各種制度を活用して、困っている人を支援したい。同時に、国がそれらの人をどう支えていくのか、社会保障のあり方が問われていると思います」(Bさん)

社会保障の構築

 全国福祉保育労働組合(福祉保育労)はコロナ危機を受け、生活困窮者への支援の強化・迅速化や福祉職場の職員増などを求め、国へ要請を繰り返しています。土田昭一委員長がいいます。

 「コロナ危機のような緊急事態には、困窮者を支える資金給付が必要です。しかし、これまで国は震災時などでも貸付で対応してきました。国は全国にネットワークをもつ社協を相談窓口としますが、社協に丸投げではなく、必要な職員体制の確立と事業運営に責任をもつべきです。そのためにも、平常時から国民の暮らしを支える社会保障の構築が求められます。労働組合として、今後、取り組みをさらに強めたい」


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