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2020年5月18日(月)

医療削減「誤り犯した」

仏大統領、医師の追及受け

 マクロン仏大統領は15日、パリの病院を訪問し、医師や看護師から個人用防護具の不足解消、賃上げや人員増など厳しい要求を突きつけられました。マクロン氏は、2018年に発表した医療改革政策について「間違いなくわれわれは戦略的誤りを犯した」と認めざるを得ませんでした。

 新型コロナウイルスによってフランスでは死者が2万人を超えるなど深刻な影響が出るなか、長年のベッド数や人員・予算の削減の結果だとの政権批判が噴き出していました。

 この日マクロン氏は、パリ市内の仏最大の病院ピティエ・サルペトリエール病院を訪れ、労働組合や医師、病院当局者と懇談しました。シミロウスキ呼吸器部長は「新任の看護師は貧困すれすれ」だとして大幅な賃上げが必要だと主張。病院当局者は、低賃金を補てんするため病院外で違法に働いているスタッフがいると訴えました。期限切れのマスクを使っているというある看護師は、「私たちは絶望的だ。あなたのことはもう信じられない。私たちは欧州の恥だ」と怒りを込めて追及しました。

 マクロン氏は、医療・救急スタッフの賃上げの検討を「来週に」着手すると約束。また18年に発表した医療改革政策について「病院が置かれた現状に照らして全く不十分だった」と認め、病院予算の拡充は「10年前に始めるべきだった」と述べました。

 フランスの病院の疲弊は早くから指摘されており、昨年はスタッフによるストやデモが頻発。この日の訪問も、厳しいやり取りとなることを予想した大統領府が、テレビやラジオの記者、カメラマンの取材を排除しておこなわれました。(伊藤寿庸)


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