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2020年5月16日(土)

検察庁法改定案 広がる採決反対

野党、徹底審議を要求 武田担当相の不信任案提出

政府、恣意的介入否定できず 藤野氏が批判

 「検察庁法ぜったい反対」「強行採決ぜったい反対」―。国会の外で上がるシュプレヒコールが委員会室に響きました。特定の検察幹部の定年を特例で延長することを可能にする検察庁法改定案の審議が行われた15日の衆院内閣委員会。わずか6時間余りの審議での採決強行を狙う自民、公明両党に対し、日本共産党と、立憲民主党、国民民主党などの共同会派は徹底した審議を求めました。与党側は質疑後の理事会で採決を提案。野党側は「断固採決は認められない」と拒否し、国民の世論を一顧だにせず、説明責任を果たしていないとして、武田良太国家公務員担当相不信任決議案を衆院に提出。内閣委員会は散会となりました。


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(写真)質問する藤野保史議員=15日、衆院内閣委

 日本共産党の藤野保史議員は衆院内閣委員会で、内閣の判断で特定の検察幹部の定年延長を認める「特例規定」を盛り込んだ検察庁法改定案について「検察官の独立性を害し、憲法の基本原理である三権分立を脅かすものだ」と批判しました。森雅子法相はまともに答えられず、藤野氏は「新型コロナウイルスの収束のために集中すべき時期に、火事場泥棒的に改定案をごり押しすることは許されない」と述べ、撤回を求めました。

 藤野氏は、検察官は唯一の公訴提起機関で、単なる行政官ではないと指摘。総理経験者さえ逮捕・起訴できる特別の権限を持つ「準司法官」であり、その高い政治的中立性を担保するため、一定の年齢で例外なく退官するルールとなっていたとして、「検察官の定年を個別に延長できる『特例』を設けること自体が恣意(しい)的介入の余地をつくりだす」と批判しました。

 森法相は「現行法上、検察官について勤務延長を認める規定はないが、その理由は当時の国会議事録を見ても見当たらなかった」などと的外れな答えしかできませんでした。

 藤野氏は、現行法は「検察官のキャリアの最後の出口で内閣が人事に介入できないように『特例』を設けていない」と指摘。法改定で「特例」を設ければ、どんなに詳細な「要件」をつくっても、「内閣の恣意的な判断が可能になる」と重ねて指摘。森法相は「検察官が意に反して辞めさせられることがないことは変わらない」などのごまかしの答弁に終始。藤野氏は安倍内閣が1月、黒川弘務東京高検検事長の定年延長を閣議決定したことが全ての始まりだとして「検察全体をゆがめ、“法の支配”を“人の支配”にしてしまう」と厳しく批判しました。

 野党からは、国民民主党の後藤祐一議員も追及。武田担当相は「本来なら法務省が答える」と連発し、森法相は恣意的介入にならないための「基準」を最後まで示すことができませんでした。


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