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2020年5月6日(水)

主張

緊急事態宣言延長

政府が本気で行動変える時だ

 安倍晋三政権が新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言を全国で31日まで延長することを決めました。医療体制をひっ迫させる感染状況が続き、当初期限の6日に解除できないとの判断です。4月7日に7都府県を対象にした宣言発令から約1カ月、検査・医療体制づくりでも、暮らしと営業の補償でも、安倍政権の対策は全く不十分な上、実施も後手後手です。このままでは医療崩壊は止められず、国民の暮らしも持ちこたえられません。政府は姿勢を改め、医療を守り、国民生活を支えるため、先手先手で十分な財政措置を即刻打ち出すべきです。

負荷はぎりぎりの状況

 延長を決めた政府対策本部の基本的対処方針(4日)は、新規の感染者数は減少傾向に転じているとしつつ、引き続き医療提供体制がひっ迫している地域があり、再度感染が拡大すれば、さらなる負荷が生じるとしました。同日の政府の専門家会議の提言も、収束のスピードが期待されたほどでないとし、「入院患者を引き受ける医療機関への負荷は現状でもぎりぎりの状況」と警告しました。感染状況が依然予断を許さないことを浮き彫りにしています。

 対処方針でいう「減少傾向」をそのまま受け止めるのは困難です。厚生労働省の専門家からも、現在確認されている感染者数は「氷山の一角」という指摘が出ています。PCR検査数が圧倒的に少ないため、実態が正確に把握できていないのです。感染がどんな状況にあるかの全体をつかまなければ、緊急事態宣言の継続や解除の基準は明確に示せません。

 PCR検査は、早くから国民や野党から大幅な拡充を求める声があったのに、絞り込み方針に固執した安倍政権の責任は重大です。

 首相は4日の記者会見で、検査を増やさなかった点について「人的な目詰まりもあった」と述べましたが、なぜ体制強化をできなかったか説明しませんでした。真剣さが問われます。各地で医師会などが取り組んでいるPCR検査センター設置を後押しするための予算措置をしっかり行うなど検査の大幅拡充に踏み出す時です。

 首相は、緊急事態宣言の約1カ月の延長は、医療現場のひっ迫した状況の改善のためといいました。そう語る以上、コロナ対応で必死で頑張っている医療機関を支えるための強力な財政的な支援と減収補てんを実行すべきです。

 宣言延長による経済への打撃は計り知れません。コロナ感染拡大以降の経済活動の制限ですでに倒産・廃業の危機に直面している中小業者が相次いでいます。何とか持ちこたえてきた業者も、さらに1カ月の営業自粛となれば、まさに死活問題です。これまでの政府の支援策では全然足りません。ところが首相は、延長への協力を求めるばかりで具体的な支援策の強化には触れません。安心して休業できる補償をしなければ、感染を抑止する力になりません。

第2次補正をただちに

 今こそ「外出自粛や休業要請と補償は一体で」という切実な声にこたえるべきです。対象者を線引きした1回だけの「持続化給付金」などでは暮らしは行き詰まります。命を守り営業と生活を支えるため、政府の「行動変容」が必要です。国民に届く中身の第2次補正予算案の編成は待ったなしです。


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