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2020年5月2日(土)

院内感染 防げ

コロナ患者受け入れ 最前線の奮闘

首都圏の一般病院

 新型コロナウイルスの感染拡大が連日、進む中、各医療機関では、地域医療を守るために院内感染をどう防ぐか、対策に追われています。首都圏にある一般病院の実情と取り組みは―。(武田祐一)


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(写真)密接を避けるため、待合室のいすは間隔をあけて座るようにしています

 郊外の住宅地にあるこの病院は、救急医療を担う地域医療の拠点の一つです。

 「いま、院内感染を防ぐことが最大の課題です」と同病院の事務長は語ります。

 病院の玄関前では、職員が院内に入る人に声をかけ、発熱の有無を聞いてチェック。設置してあるアルコール液で手指を消毒するよう徹底しています。

 しかし「非接触式の体温計がありません。業者にも聞いていますが手に入らないのです」。

 入院患者への面会は禁止。健康診断部門も休止中です。

外来が大幅減

 外来患者は、この間だいぶ減っています。「再診の患者さんは多くは新型コロナを警戒して、受診を自粛していると考えられます」

 一般外来の患者は3月には前月比で14%減り、4月には25%減っています。同7日に緊急事態宣言が出た影響が大きいといいます。

 この事務長は強調します。「受診抑制で外来診療の収入が減り、病院の経営が大変になっています。地域の医療施設を守る財政支援が必要です」

 この病院では電話で診察する、電話再診が急激に増えています。4月に入ってすでに400件以上あり、600件近くになる見込みです。「電話診療は感染予防ができるので患者・医師にとって安心です」と事務長。

 薬についても、慢性疾患の患者などに必要なものは医師が電話で処方します。患者は直接、薬局へ取りに行きます。

接触回避徹底

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(写真)手づくりのフェイスシールドとエプロンを身に着け、エプロン材料の45リットルごみ袋を手にする病院職員

 この病院には帰国者・接触者外来と発熱外来があります。

 「発熱外来などがあることは公表していません」。患者が急増して対応できない恐れがあるためです。保健所から、新型コロナ感染の疑いがある発熱患者がいる場合に連絡が来て、受け入れる仕組みです。

 発熱がある患者はまず発熱外来で診察します。新型コロナ感染の疑いがある場合には、PCR検査をします。陽性の場合、帰国者・接触者外来に移して対処します。

 現在、一般病棟の一部を新型コロナ患者専用にしています。ベッドを大幅に減らして、受け入れられるようにしています。

 患者には原則、車での来院を呼びかけています。「この病院には室内の空気を外に漏らさない陰圧室がないため、熱のある人は車の中で待機してもらっています。自転車や徒歩で来た人は病院所有の車で待機してもらいます」。この方法だと、部屋を確保しなくても対応できるためです。

 同病院では救急の受け入れをしています。この間、外来と同じように、救急車での搬送数は減っています。

 「受け入れたくても、判断が難しい」といいます。「急患で熱があるからと言って新型コロナの病棟に入れるわけにはいきません。一般病棟に入れるため、万一、新型コロナ感染者だった場合、院内感染の危険性が高くなる。そこが一番怖い」と話します。

 どこの医療現場にも共通していますが、マスク、エプロン、ガウンといった医療用資材が不足しています。

医療物資不足

 「感染症対応のN95マスクや防護服が全然、足りません。普通のマスクは職員1人当たり3週間で6枚程度です」

 こうした状況に職員が協力しあって、顔を覆うフェイスシールドやエプロンを手作りしています。「エプロンは毎日600枚以上、45リットルのごみ袋を裁断して作っています。感染症の診察には使えませんが一般診療で使っています。これならば汚れたら新しいものに交換して衛生が保てます」


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