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2020年4月30日(木)

主張

「コロナ危機」質疑

現場の悲鳴 真剣に受け止めよ

 新型コロナウイルス感染拡大の対策を盛り込んだ2020年度補正予算案について、日本共産党の志位和夫委員長が衆院予算委員会で質問に立ちました。少なすぎるPCR検査、危機に直面する医療機関、苦境に陥っている暮らしと営業、大ダメージのイベント・文化―。各分野で上がる切実な声に根ざして具体的な提案をした志位氏の質問は、コロナ禍の中で政治が何をなすべきかという基本姿勢を大本から問うものです。安倍晋三政権は、国民の悲鳴を真剣に受け止め、切迫した事態に見合った対策を本格的に実行すべきです。

本気で支援する姿勢示せ

 PCR検査体制の抜本的な改善・強化は焦眉の課題です。感染を疑われる人が保健所を通さず迅速に検査できる仕組みのPCR検査センターの設置推進が不可欠です。首相もようやく設置を表明し、全国の自治体で同センターをつくる動きが始まりました。同センターには1カ所平均5000万円がかかるとされます。

 ところが補正予算案は同センターのための予算を含んでいません。政府は1490億円の「緊急包括支援交付金」などで対応するとしますが、同センターを全国数百カ所つくるとなれば、新たに200億円必要なのに手だてがありません。志位氏は、センター設置という新方針を首相が表明した以上、既存予算の枠内にとどめるのでなく、新たな措置をとるべきだと迫りました。国が「本気度」を示さなければ、設置は前進しません。

 コロナ患者受け入れなど献身的に奮闘する病院に大きな財政的負担がかかることは大問題です。感染患者に備えベッドを空けたり、医師・看護師の特別体制をとったりして減収になる病院からは、夏までに資金が尽きると悲痛な声が上がっています。減収を補てんする自治体も生まれていますが、本来は国がやるべきことです。

 志位氏が「コロナ対策にかかる費用は国が全額補償する」と明言すべきだとただすと、首相は「緊急包括支援交付金」での対応に固執しつつも、「医療提供体制の機能は国として責任を持って守る」と述べました。ならば医療に数兆円規模の予算を投じるべきです。

 暮らしと営業を守る対策はどうか。「1人10万円給付金」だけでなく、生活が持ちこたえられる補償が欠かせません。生活を支える収入補償には、現在の雇用調整助成金の仕組みでは対応できず、中小事業者の多くは救えません。煩雑で時間がかかる手続きを簡素化し、先に給付し審査を事後にすることや賃金の8割補償への引き上げなど「コロナ特例」にすべきです。非常事態に、従来の延長線上の対応では間に合いません。

抜本的組み替えと加速を

 毎月支払う家賃など固定費の補償には、事業者が限られ1回だけの「持続化給付金」では足りません。志位氏の指摘に、首相は、東京では金額が不十分と認め「長引けばさらなる対策等も考える」と述べました。要件の緩和と継続的な補償に踏み切る時です。首相が名指しでイベント自粛を要請した文化・芸術・スポーツへの補償はいよいよ必要です。

 感染爆発と医療崩壊を止め、暮らしと営業を守り抜くため、補正予算案の内容の抜本的拡充・組み替えと諸施策のスピードアップをはかることが政治の責任です。


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