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2020年4月20日(月)

安倍政権 火事場泥棒的な暴走

改憲議論へ策動 悪法審議を強行

 新型コロナウイルスの感染爆発や医療崩壊が懸念される中で、安倍政権は立憲主義、社会保障を破壊する暴走を強めています。「緊急事態」を口実にした改憲議論の呼びかけ、検察人事への政治介入を可能にする検察庁法改定案、国民に自助努力を求める年金法改定案の審議入りなど、まさに火事場泥棒的暴走です。


憲法審開催狙い

 安倍首相は新型コロナウイルス感染拡大を受けた「緊急事態宣言」の発令に関する7日の衆院議院運営委員会での質疑の中で、「(緊急時に)国家や国民がどのような役割を果たし、国難を乗り越えていくべきか、そのことを憲法にどのように位置づけるかについては、極めて重く、大切な課題」と発言。憲法に緊急事態条項を創設する議論を憲法審査会で進めるよう呼びかけました。自民党の有力幹部は「(新型コロナウイルス感染拡大は)緊急事態の一つの例。憲法改正の大きな実験台」などと発言していました。

 改憲は、緊急性がまったくないうえ、国民の間に意見の相違がある問題です。コロナ感染への対応で国民が政治的立場を超えて連帯するべき時に、国民に分断を持ち込むことはやめるべきです。

 自民、公明の与党は16日、衆院憲法審査会幹事懇談会を開こうとしましたが、野党の反対で開催できませんでした。

検察庁法改定案

 安倍政権は16日、検事長など検察幹部の人事を首相官邸が握る検察庁法改定案の審議入りを強行しました。

 同改定案は、検察官の定年年齢を65歳に引き上げ、63歳からは役職につかない(役職定年)としつつ、内閣が認めるときに63歳を超えて検事長や次長検事などのまま勤務できるとするもの。検察人事への露骨な政治介入を認める違憲の法案です。

 安倍政権は黒川弘務東京高検検事長の定年を延長する閣議決定(1月31日)を強行。「国家公務員法の定年延長は検察官に適用されない」という政府見解を投げ捨てる違法な「解釈変更」で正当化を図ってきましたが、検察内部からさえ批判が上がっていました。こうした声を、法律を変えて封じ込めるのが狙いです。

年金制度改定案

 マクロ経済スライドという年金を実質削減する仕組みを放置したまま国民に自助努力を求める年金制度改定案が14日、審議入りしました。

 同法案は、現在70歳の公的年金制度の受け取り開始時期の選択肢を75歳まで広げます。年金を減らしておいて「公的年金で足りない人は体力の限界まで働けと求めるに等しい」(日本共産党の宮本徹議員、14日の衆院本会議)ものです。

 マクロ経済スライドの基礎年金への適用をやめ、65歳になれば働かなくても暮らせる年金制度をつくることこそ必要です。

 三つの「課題」に緊急性はありません。今は、国民全体の命にかかわる新型コロナウイルス感染拡大防止に全力を集中すべき時です。どさくさまぎれの暴走を許すわけにはいきません。

 (若林明)


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