しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2020年4月19日(日)

青森 和牛下落 農家悲鳴

安倍農政×コロナで大打撃

「大変な今も、輸入牛は入り続けている」

 新型コロナ感染症拡大で和牛の価格が下落しています。「原因は、コロナだけの問題ではない」と、和牛農家や関係者から怒りの声が寄せられています。(青森県・藤原朱)


写真

(写真)二木さん(奥)から実態と要望を聞き取る沖津町議=12日、青森県横浜町

 「安倍(首相)に任せていたら、日本の農業はだめになる」「あの和牛券っていうのはばかだね。政府が農家のことを考えていないのがよく分かる」。怒るのは、畜産が盛んな青森県横浜町で黒毛和種の子牛生産(繁殖農家)を営む、二木菊太郎さん(65)、鈴子さん(69)夫妻です。

価格補償をして

 親牛54頭、子牛26頭合わせて80頭の世話を終えたばかりの鈴子さん。「1月に発効した日米FTA(自由貿易協定)に加えて、コロナで急激に値が下がったね」と述べ、「エサ代は月60万円余。電気・ガス・水道料金とか毎月の経費は100万円くらい。1頭平均15万円、値が下がっているから打撃は大きいよ」とため息をつきます。

 菊太郎さんは「自粛でレストランが休業しているから、肥育農家はもっと大変。県独自で価格補償をしてほしい」と訴えます。

 日本農業新聞(4日付)は、「和牛の枝肉相場、2014年以来の1キロ2000円台割れ」と肥育農家の厳しい状況を報じました。

 県畜産市場の山内正孝市場長は「ホテルやレストランの休業で和牛の消費が減っています。肥育農家は高値で買った子牛を同額程度で売りに出し、採算が取れない。こうなると子牛の値も下がり、悪循環。八方ふさがりの状態です」と危機感をあらわにします。

 価格が下がった大本は「TPP(環太平洋連携協定)11と消費税10%増税、日米FTAの三つだ」と山内さん。安倍農政を批判します。

失政一気に噴出

 政府が消費拡大として、学校給食への国産牛肉活用を決定しましたが「小中学校は休校中で、いつ再開するかわからない。それより、この大変な時期の今も、輸入牛は入り続けている」と問題視しています。

 農家がコロナに感染した場合の影響が心配だという獣医は「感染したら、代わりに家畜の世話をする人を派遣するなど、支援と体制をつくってほしい」と求めます。

 二木さんたちも感染防止に必死です。「もし私たちが感染したら、牛の世話ができず、殺すことになる。それだけは絶対に避けたい」と語気を強めます。

 畜産農家を回り、聞き取りをした日本共産党の沖津正博町議は「日本の食料を守ってこなかった安倍農政の失敗が一気に噴出しています。被害を受けている農家へ補償と支援をするのは国の責任です」と語っています。


pageup