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2020年4月19日(日)

PCR大規模検査に転換を

感染の実態と全体像つかむ

群星沖縄臨床研修センター長 徳田安春さんに聞く

 「PCR検査センターを各地につくり、必要な人を速やかに検査する体制に転換する」ことを求めた日本共産党の「感染爆発、医療崩壊を止める緊急提案」(16日発表)について、徳田安春・群星(むりぶし)沖縄臨床研修センター長に聞きました。(中祖寅一)


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 私は、現在の「帰国者・接触者外来」のほかに、新たな検査所を学校の校庭や公園など屋外に設け、不安のある人がネットや電話でかかりつけ医に相談し、医師が必要と判断したらPCR検査を受けられるようにするべきだと提案してきました。日本共産党の提案は私たちの提案と合致するもので、大いに評価できます。

 志位和夫委員長は提案の趣旨について、大量の検査を行い、保健所の負担を軽減し、病院を感染の危険から防護すると説明していますね。素晴らしいと思います。

保護と隔離

 私は、台湾や韓国の医師と連絡を取り合っていますが、韓国や台湾では、早くからPCR検査を大規模に実施してきました。感染者を見つけ、重症者と軽症者に振り分け、重症者は病院に、軽症者は自宅待機もしくはホテルで保護・隔離する政策をとり、封じ込めに成功してきています。

 この問題で最も重要なことは、感染の実態と全体像をつかむこと、特にスーパースプレッダーといわれる感染拡大を引き起こす可能性のある人を早期診断することによって集団感染を防ぐことです。そして、その人の責任追及ではなく、保護と隔離をする。台湾では、自宅待機となった軽症者と濃厚接触者に1日約3000円の補償が2週間提供され、外出を控え在宅で弁当をとることもできる仕組みがとられています。「隔離」というより、感染者と濃厚接触者を保護する発想です。

遅れを打開

 「3密」という環境的条件の回避は重要ですが、その場所がウイルスを引き起こしているわけではありません。ライブハウスやカラオケ店に責任があるわけではないのです。スーパースプレッダーを保護せずに放置してきた政策の遅れこそ問題です。ここを緊急に転換・打開する必要があります。

 また、病院とは分離したフィールドで検査をする。病院が、重症者の対応や院内感染のリスクを抱えるために、自分でPCR検査をする必要はあります。一方で、軽症者と濃厚接触者を早く広く見つけ保護するために、病院と分離し学校の校庭や公園などで検査する仕組みが必要です。たくさんの患者が病院に殺到する危険から病院を保護するためです。ここに国や自治体の責任でマンパワーと資材を集め、医療機関や保健所の負担を減らす。

 検査の必要性をかかりつけ医に判断してもらうよう転換する。軽症者は風邪症状のみの場合が多いのですが、長年患者を診ておられるかかりつけ医が、患者の健康状態を一番よく知っています。その判断を保健所にさせていたことにも遅れの要因があります。

 こうした体制のもとで、検体の運搬や検体の検査は民間会社や大学や研究機関の能力をフル動員して進めれば、検査を一気に拡大することは可能です。


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