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2020年4月17日(金)

生活に困窮する市民

実効ある給付 求める声

 新型コロナウイルスの影響で収入が減少した世帯に30万円の現金給付を行うとした安倍政権の緊急経済対策。国民世論に押され、1人当たり10万円の給付が新たに打ち出されたため2020年度補正予算案には盛り込まれない方向です。生活に困窮する市民からは、実効ある給付を求める声が上がっていました。(和田育美、遠藤寿人)


バイト収入ゼロ

写真

(写真)男性の経営する理容院

 「世帯主は78歳の父親で、年金を月15万円もらっている。世帯収入は減らないから給付対象にならない」

 秋田県鹿角(かづの)市で理容院を20年営む男性(52)は、そう肩を落とします。主要な生計となるはずの理容院は赤字続き。3年前から経営を補填(ほてん)するためホテルで皿洗いのバイトを始めました。通常は月7万円、休みなくシフトに入れば10万円ほどの収入がありました。「中国、韓国の観光客が多いホテルだった。1、2月からシフトが減り、給料は月4万円まで減。3月は『出番があれば電話する』と自宅待機です」

 店の家賃は月4万5千円。その他にも水光熱費、交通費、電話代、仕入れの材料代などがかかり、月々の支払いは9万円ほど。「今は他にバイトもなく、理容院の収入だけ」という男性。

 来客がないときは電気を極力消し、今の時期も欠かせないストーブは温度を低めに設定。店に置く雑誌も買わないようにしています。「大した節約にはならないけど、できることはそれぐらいしかない」とため息をつきます。

 借入などの融資については「ただでさえ、赤字続き。新たな借金は返せるのかって思う」と不安を吐露します。「本当は家に少しでもお金を入れたいけど、情けない」と話し、コロナの影響で減った収入に対する手当を求めています。

収入源断たれる

 北海道小樽市でディスコバーを経営するAさん(60)。消費税10%増税と新型コロナウイルス感染防止のための自粛で、お客が1人も来ない日もあります。「貯蓄を全て使った店が危機です」といいます。

 店は昨年8月にオープン。資金は友人と2人の貯蓄。客足は同年10月の消費税増税でガクッと落ち、コロナの影響でゼロの日も。収入源だった月1度のディスコパーティーも開くことができません。

 Aさんはフリーのダンスインストラクター。店と自宅の家賃、電気代、仕入れ代などはAさんの給料で払っていました。

 コロナの自粛で、週15あったダンスレッスンが5レッスンまで減りました。収入が減ったため、介護保険のデイサービスでアルバイトを始めました。時給900円で朝8時半から夕方まで働きます。「休みが1日もありません。一生懸命頑張るほど体が壊れそうです」と嘆きます。

 緊急経済対策の給付についてAさんは「大変な量の書類を書かなければいけないし、市役所に行く時間がない。融資を受けても返せない。貯蓄を全部はたいてしまった人はどうすればいいの」と支援を求めています。


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