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2020年4月15日(水)

国の方針二転三転

長引く休校 学童疲弊

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(写真)2部屋を20人弱の子どもたちがのびのび使っていますが、どうしても集まりがち。「はなれて~」と指導員が時々声をかけています(さいたま市の東小学童保育)

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(写真)新1年生に消毒と検温を啓発しています(さいたま市の東小学童保育)

 緊急事態宣言で、一律休校以降の混乱が続く首都圏の学童保育。集団感染も出る中で、改善が急がれます。(手島陽子)

 宣言が出た7日、Aさんが勤める東京都内の学童保育は朝からの開所を続けるよう、自治体から伝えられました。「夕方に方針発表され連絡を受け、翌朝に運営方法を変えるということが、1カ月間続いている」とAさん。二転三転する国の方針に疲弊しています。

 一律休校要請時は、急きょ2人の非常勤職員に朝からの出勤を頼み込み、ローテーションを組みました。朝8時から午後7時まで11時間労働。子どもは「学童保育に住んでるの?」と。在籍する60人弱のうち約40人の1~3年生が通い、常勤4人と非常勤2人の職員が対応します。

長時間緊張状態

 密閉・密集・密接の「3密」を避けるのが難しい学童保育。「ウイルスを持ち込むのは絶対にダメ。自分が感染するのが一番心配です。体調管理をしっかりしなくてはいけないのに、緊張状態で長時間労働なのがつらい」と顔を曇らせます。

 さいたま市では、3月上旬に小学校での預かりが決まり、多くの学童保育が通常通り午後から開所しました。しかし、3月16日の開校予定が変更となり、休校は延長。東小学童保育は同日、朝からの開所をスタート。「12時間労働です」と指導員の柳沢大助さんは言います。

 学童通いを自粛して子どもだけで留守番していた小4の女の子は、休校延長が発表された時、大泣きしたと言います。「友達に会えず、不安だったんでしょう」と指導員の佐藤正美さん。その後、学童に通い始め「友達に会えて喜んでいたそうです。突然の休校は子どもへの負担は大きかった」と話します。

市や学校と連携

 学校と相談し、4月からは慣れない1年生を学童保育で、2~6年生は主に学校の預かりを利用しています。

 さいたま市学童保育連絡協議会事務局次長の加藤哲夫さんは「市連協からはマスクなどの配布を要請。市はすぐに対応しました。市や学校、保護者との連携があり、緊急事態への対応も可能になった」と語りました。

密集状態や待遇改善課題

「緊急声明」を発表した日本学童保育学会代表理事 増山均さん

 学童保育の基準は、子ども1人当たり1・65平方メートル、1支援の単位(クラス)40人で、「3密」が起こりやすい。最も急ぐべきことは、マスクや消毒薬など最低限必要なものを準備すること、空き教室などを利用して密集を改善することです。

 人手不足の学童保育ほど、不安が危機感に変わっています。突然の休校要請で朝から開所を求められ、急きょ人員を配置しなくてはならず大混乱でした。感染症対策で指導員は長時間の緊張状態で、疲れが出ています。

 基本的な課題の解決も大切です。

 一つは量的拡大。待機児は自治体が把握するだけでも1万7000人、潜在的待機児は数十万といわれます。二つめは、狭い部屋に子どもがひしめき合う状態解消のための質的な改善。三つめは、指導員の専門性。特に、国は2人以上の指導員(うち1人は有資格者)を置くことを参酌化しましたが、「守るべき基準」に戻すことが求められます。指導員の待遇改善は緊急かつ最大の課題です。

 もう一つは、生活と遊びを保障する機能を大切にすること。遊びは“主食”です。コロナで困難に直面する今この瞬間も、日々成長発達しているのです。

 突然、国から丸投げされた中で、指導員は献身的にやってきました。学童保育は緊急事態に子どもを守る不可欠の存在として、明確に認知されたのではないでしょうか。


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