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2020年4月3日(金)

主張

日銀短観の悪化

経済危機に見合った抜本策を

 日本銀行が1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、企業の景況判断が、大企業も中堅企業も中小企業も、製造業も非製造業も、記録的な悪化を示しました。昨年10月からの消費税増税に加え、新型コロナウイルスの感染拡大が重大な打撃になっているのは明らかです。新型コロナ感染拡大の影響で苦しむ国民の暮らしと営業をしっかり補償する緊急の対策はいよいよ重要です。さらにその先の暮らしに国民の希望が見えるよう、消費税を5%に減税する政治決断が必要です。

7年ぶりのマイナス

 短観は、調査対象が約1万社と多く、調査時点から短期間で発表されることから、注目されている経済指標です。企業の業況判断指数(DI)は、「良い」と答えた企業から「悪いと答えた企業」の割合を差し引き算出します。3、6、9、12月の4回調査されます。

 消費税10%増税後、最初の調査だった前回12月の短観は、大企業製造業のDIが6年9カ月ぶりにゼロとなり、消費税増税と米中貿易紛争などが景気を冷やしていることを浮き彫りにしました。

 それに続く今回はマイナス8と、12月調査から8ポイント悪化しました。大企業製造業のDI悪化は5四半期連続で、マイナスになったのは7年ぶりです。中堅企業製造業は前回比で9ポイント、中小企業製造業は6ポイントそれぞれ悪化しました。非製造業も大企業は12ポイント、中堅企業は14ポイント、中小企業は8ポイント低下しています。企業の業況感が急速に落ち込んでいることを示しています。大企業製造業のDI悪化は、消費税増税で自動車などの売り上げが低迷しているうえ、新型コロナ感染拡大で海外からの部品の調達ができなくなり工場が操業停止に追い込まれていることが大きく響いたとされます。

 大企業非製造業のDI悪化は、リーマン・ショック後の2009年3月以来の下落幅でした。小売りなどで需要が落ち込んでいるためです。宿泊・飲食サービスは、この業種の調査開始以降、最悪の水準の数字となりました。

 3カ月後の見通しでは、製造業で、大企業がさらに3ポイント、中堅企業も12ポイント、中小企業も14ポイント低下します。非製造業では、大企業が9ポイント、中堅企業は14ポイント、中小企業は18ポイントも下がります。

 新型コロナ感染拡大による企業の休業や操業停止で、働く人の解雇や採用内定を取り消すなどの動きも相次いでいます。国民に犠牲を強いることは許されません。

 いまこそ国民の暮らしを本気で支える抜本対策が急務なのに、安倍政権の経済政策はそれに見合ったものとはいえません。新型コロナ感染拡大防止のためには、国民への自粛の要請と一体で所得や損失を補償する強力な財政措置が不可欠なのに消極的な姿勢です。

自粛と一体で補償を

 新型コロナの急速な感染拡大は、文字通り日本経済にとって未曽有の事態です。安心して自粛に協力できるようにするには、「自粛と一体で補償する」という原則を宣言すべきです。雇用調整助成金や休業補償、無利子での貸し付けなどの拡充は待ったなしです。

 従来型の発想ではなくインパクトある政策として、消費税の5%減税を真剣に検討すべきです。暮らしを支え、経済を温めるために、思い切った対策が不可欠です。


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