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2020年4月1日(水)

新型コロナウイルス

感染者多い8都道府県

空きベッド余裕なし

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、各都道府県は感染症指定病院だけでなく一般の病院にも患者受け入れの協力を要請し、ベッド数の確保を急いでいます。現状で空きベッドがあっても、今後感染爆発が起きればベッドだけでなく医療者も足りなくなり、厳しい対応が迫られます。感染者が多い8都道府県の状況を見ました。(武田祐一、原千拓)


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 東京都は現状で対応可能なベッド数が約500床。既に約400人が入院し、加えて31日には78人の感染者が判明。日々感染者が増え続けており、受け入れの余裕はありません。都は今後4000床を目標に確保する方針を示していますが、一般病院が感染症対策や人員体制を整えてすぐ対応するには限界があります。

 大阪府は入院者125人で空きベッド数は約170床。各方面との調整で対応できるベッド数を約300床から600床程度に増やし、軽症者の対応に備えて民間宿泊施設を用意するとしています。

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 全国で最初に緊急事態宣言を出した北海道は、確保した約250床のうち、空きが約200床。道は「感染者増加の状況を見ながら判断する。入院が必要な患者に対応したベッド数を確保したい」と説明しました。

 愛知県では入院者89人で、約110床の空きベッドがあります。担当者は「入院患者数は減っているが、軽症者も受け入れられるようにさらに100床増やしていきたい」としています。

 県内の障害者施設で集団感染が発生し、対応に追われる千葉県は、感染症対応ベッド58床に一般病棟のベッドを加えて約250床を確保しました。今後民間病院に要請し、ベッド数を増やしたいとしています。

 兵庫県は確保した246床のうち約140床の空きがあります。感染者の増加傾向が見られたら、ベッド数目標を上乗せすることを検討しています。

 神奈川県では今のところベッドは足りているものの、今後「重症患者」「中等症患者」などの優先順位をつけて対応するといいます。無症状や軽症者に対しては宿泊施設などを確保し、感染拡大を防ぐことも検討中です。

 埼玉県はベッド数75床に対し入院者が61人で、対応できる空きベッドは14床とわずかとなっています。

病院への財政・物資支援を

 全日本民医連・新型コロナウイルス対策本部の内村幸一事務局長の話 感染した患者を一般の病院で受け入れる場合、医療従事者の感染防止や院内感染対策を通常の感染症以上に徹底しなければなりません。重症の肺炎患者に装着する人工呼吸器に熟練したスタッフの人員配置なども、病院にとっては大きな負担となります。

 感染防護に不可欠なマスク、ガウン、手袋などの衛生材料が慢性的に不足し、備蓄品も底を尽きそうだという医療機関がほとんどなので、このまま物資が入ってこなければ感染拡大に対応できなくなります。

 感染者受け入れに備えて空きベッドを確保しておくのは、入院患者がいる時と比べてかなりの減収になります。緊急の物資供給とともに、医療体制整備やベッド確保のための財政的支援が必要です。


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