日本共産党

2003年12月22日(月)「しんぶん赤旗」

中国選挙

5年に1度 民主化すすむか注目


写真
投票する回族の男性=10日、北京市宣武区牛街(鎌塚由美撮影)

 北京の十八区県(十六区、二県)の新しい人民代表(議員に相当)四千四百三人が十七日までに決まりました。中国国民の五年に一度の選挙権行使です。

 北京の人口は千百二十二万人。十八歳以上の人がそのつど選挙人登録をします。今回の登録者は八百十万人でした。

 中国共産党や政府は「民主的選挙」をめざすとして、一部の選挙区で候補者と有権者の対面会、投票所が外国記者にも公開されました。

■候補者調整

 第一次候補者は四万人余でしたから競争率は約九倍。ところが実際は全二千三百余の選挙区(ほとんどが定数一−三)で、「一人はみ出し」がほとんどでした。区県の役所は「各単位(地域、職場)代表による民主的討論、下相談、協議を経て」候補者が絞り込まれたと説明します。

 たとえば崇文区花市七区(定数三)。単位と呼ばれる地域、職場が提出した候補者名簿から、単位長会議の調整で四十四人の第一次候補を決定。さらに二回の調整会議を経て四人に絞り込んだといいます。「他薦であって本人がそう強く希望しているわけではない」候補を下ろす場合もあったといいます。事務所を設け街頭演説などをした人もいましたが、最終候補には選ばれませんでした。

 東城区和平里六区は第一次候補七人の資料を各単位に回し、十日後に単位長会議を開いて討論、調整し、最終候補を四人にしました。

 「調整」を排し、投票方式を採用したところもあります。海澱区北京郵電大学選挙区では、当初二百八十人の第一次候補がいましたが、学内の直接投票で最終候補者を決めました。

 最終候補者が選挙人の前で抱負や政策を語る「対面会」が開かれた選挙区も。崇文区は一割弱、東城区が二割でした。対面会では各候補の演説の後、支持する候補に政策を聞くというやり方がほとんどでした。花市七区、宣武区紅連中里選挙区もこの方法が取られました。

■純粋無所属

 和平里六区は中国共産党員の三人が三千票以上で当選、民主党派といわれる民主建国会所属候補は千票に満たず落選でした。宣武区牛街利拝寺選挙区は、少数民族・回族(イスラム系)が多く住んでいます。回族の三候補が当選(うち中国共産党員二)、中国共産党員の漢族候補は落選しました。中国各紙の報道では、中国共産党などの公認政党や職場などの推薦を求めずに立候補しようとした“純粋無所属”は二十数人。そのうち最終候補に残った数人の中で三人が当選したことが新しい動向として注目されています。

 市全体の投票率は95%。投票所の形態はさまざまで、日本のようなついたて式のところや秘密投票台があっても利用者はきわめて少なく、ほとんどの投票者が係員の目の前の机で書き込むというところもありました。

図

 いまの中国の選挙は、日本でいえば市区町村議員だけを直接投票で選出しています。直接投票制を省・自治区・直轄市代表(日本の都道府県議に相当)段階、さらに全国人民代表大会代表(国会議員)にまで拡大していくのか、中国の選挙で民主化がどうすすむのかが注目されます。(北京で小寺松雄)


人民代表選出の仕組み

 今回選出されたのは北京市の各区県の人民代表大会(人代)を構成する代表です。各区県の人民代表大会は北京市人民代表大会の各区県分の代表を選出する権限を持ちます。さらに、北京市人民代表大会で全国人民代表(国会議員に相当、約3000人)の北京からの代表(約60人)を選ぶという間接選挙制度になっています。全国的に簡単に示すと別図のとおりです。



もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp