2003年12月13日(土)「しんぶん赤旗」
配偶者からの暴力の防止と被害者の保護にかんする法律(DV=ドメスティック・バイオレンス=防止法)を見直し、来年の通常国会での改正をめざす議論が、参院共生社会調査会のDVプロジェクトチームで行われています。日本共産党は十月に「改正」提案を発表。この問題で奮闘している参議院議員、林紀子さん(日本共産党国会議員団DV対策委員会責任者・参院共生社会調査会理事)、八田ひろ子さん(日本共産党国会議員団DV対策委員会事務局長)、吉川春子さん(参院共生社会調査会DVプロジェクトチームメンバー)が話し合いました。
| 林さん 女性が声を上げだした。改善めざす |
林 二〇〇一年に成立・施行したDV防止法が、家庭内の暴力であっても「犯罪」と明記し、苦しんでいた女性たちが声を上げられるようになったことは、大きな成果ですね。被害女性と支援者の訴え、世論が国会に反映した結果です。
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八田 当初、家庭内の暴力は法で取り締まれないと言われていました。でも、警察庁の報告では年に百人もの女性がDVで殺されるほど、ひどい実態です。こんな人権侵害を放置できません。海外へも調査にいき、超党派の議員立法で制定できて、変えられるんだと実感しました。
吉川 内閣府の調査では五人に一人の女性が被害者、二十人に一人は命の危険を感じるほどの暴力を受けています。DV法では、被害者の申し立てで裁判所が、加害者が被害者に六カ月間は近づけないようにする接近禁止命令、自宅から二週間は退去せよという退去命令を出し、違反者には罰則があります。保護命令は、すでに二千件以上も出されています。訴えはこの何十倍もあります。「法律は家庭に入らず」という考えが否定されたのは、進歩ですね。
林 日本共産党は法ができる前年の二〇〇〇年にも被害者救済と自立支援、民間シェルター(一時保護施設)への公的援助が重要だと提案し、予算の拡充のためにも奮闘してきました。法施行後、NPO法人の連絡会が全国的に無料でおこなった電話相談には一週間で約七百件の相談が寄せられたんです。やむにやまれぬ思いで、持ち出してやっているんです。改善しなければならない点が、いろいろありますね。
| 八田さん 民間支援団体などへの補助もっと |
八田 被害を体験した女性も協力して相談、支援する団体が少しずつできて活動していますが、仕事は行政からくるのに公的補助は少なく、身分も不安定ですからね。
吉川 DV法を充実するための日本共産党の提案(別項)は、まず、被害者救済の充実をあげています。対象を配偶者(内縁者)だけでなく元夫にまで広げる、「暴力」の範囲を広げて脅迫も含める、被害女性を加害者から守るために転居先の住民基本台帳の住所氏名を公開しない、保護命令の期間を延長することなどを求めています。
八田 被害者が離婚したいとなったときに一番、命の危険があるんです。自宅から出て新しく住む所を探し、荷物を運び出したり、離婚手続きをしたりを考えると、現行の接近禁止命令六カ月、退去命令二週間は短すぎるんですよ。
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林 今は、加害者が子どもに接近することを禁じることはできません。加害者側が学校帰りの子どもを待ち伏せして連れ去ってしまったり、「子どもに会わせろ」といって被害者の隠れ場所が分かってしまうことがあります。子どもへも接近禁止命令を出せるように改正することも大切ですね。
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吉川 提案の二番目の柱は、自立支援です。被害女性にとって、離婚後の生活や仕事をどう確保するかは、とても重要です。仕事がない、年金がないなどの理由で、夫から暴力を受け続け、離婚したくてもできない場合がありますからね。
林 DV支援センター(かけこみ寺)の機能を果たす施設は都道府県、各一カ所だけというところも多く、これでは少なすぎます。せめて、政令市には設置するようにしたいですね。
八田 民間シェルターへの財政支援の増額、職員の身分保障も欠かせません。
吉川 警察官、裁判官、弁護士、自治体職員などの研修を制度化して、DV問題に精通してもらい二次被害をなくすことも必要ですね。
林 暴力をなくすために加害者が更生できる機会を保障することも大切ですね。いまはその入り口さえないですから。
八田 私のところにも加害者の親から、更生プログラムがほしいという相談が寄せられています。
| 吉川さん 暴力の連鎖なくす取組みが大切 |
吉川 加害者の三割以上が、幼児期に暴力をふるわれた母親の姿を見て育っているといわれています。暴力の連鎖をなくすことが求められます。幼児期から暴力はダメだという教育、妻は自分の所有物という考え方を改める男女平等思想の徹底など、社会のあらゆる場で暴力を許さない、人間の尊厳を尊重するとりくみが必要ですね。
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八田 今、NGO(非政府組織)、NPO(民間非営利団体)が改正に向けて合同して運動を広げていることが大きな力です。これらのとりくみと結んで改正を実現したいですね。
吉川 来年の、通常国会での改正にむけ参議院では二月からDVチームで、参考人や政府各省との議論を重ねてきました。
林 国民の運動が大切ね。日本共産党の提案を生かして役立つ内容になるよう私たちも全力でがんばります。
日本共産党は提案します 改正案のポイント (1)DV被害者の保護の拡充 (1)被害者の救済の拡充▽「加害者」を配偶者に限定せず、離婚した元配偶者も対象とする。▽「配偶者からの暴力」に「脅迫」を加え、「精神的暴力」についても検討する。▽被害者の住基台帳の住所、氏名等を公開しないよう法改正し、加害者に新住所を突き止められることを防ぐ。 (2)保護命令の改善▽「被害者」に子どもを含め、接近禁止命令が出せるように親権の規則を検討する。期間を6カ月から1年に延長し、電話、手紙、メールによる面会の強要も禁止する。被害者の住居からの退去命令期間を現行の2週間から1カ月以上に延ばす。▽24時間以内に発令する緊急保護命令を検討する。 (2)被害者への自立支援の充実 ▽配偶者暴力相談支援センターを都道府県1カ所だけでなく、当面、政令指定都市に設置し、その他の自治体にも設置を促進する。被害者の保護と自立支援を行う者の研修・人権意識を高める研修を制度化する。▽被害者の保護、自立支援のために相談員、シェルター職員の身分を保障し増員をはかる。▽民間シェルターへの委託費の増額と運営費への財政的支援を強化する。 (3)「加害者」の更生のために、教育、カウンセリングなどの機会を保障する。 |